研究課題
若手研究
本研究では、金融機関が企業に対して資金供給を判断する際に行う信用リスク評価の手法として、対象企業の事業性を考慮する方法を提示した。まず理論面の成果として、従来の信用リスク評価の理論モデルである構造型信用リスク評価モデルと事業性をとらえる受注情報を結びつけ、新たに受注ベースの構造型信用リスク評価の枠組みを提示した。その下で具体的な評価モデルを構築し、その有用性を示した。また、金融機関にとって情報の取得可能性が高い銀行口座情報を利用した信用リスク評価モデルも構築し、その有効性を実証した。
金融工学
企業の取引関係が倒産に与える影響を明示的に表現する形で、信用リスク評価理論の拡張を実現した。理論的な枠組みだけでなく具体的な評価モデルを構築したことは、実務利用に資する評価手法の原型を示したという点で意義があったと言える。また、実企業の評価事例を通して、金融実務において従来よりも即時性の高い融資先支援等が実現し得ることを示した。