研究課題/領域番号 |
18K12821
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松村 史穂 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50615953)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中国 / 農村 / 人民公社 / 社隊企業 / 食糧 |
研究実績の概要 |
本研究は、改革開放期における中国経済の躍進を、文化大革命期からの連続性のなかでとらえようとするものである。 第一年目にあたる2018年度は、文革期に人民公社のなかでうまれた社隊企業(のちの郷鎮企業)に着目し、その成長が農村社会・経済を変容させていく過程を分析した。 具体的には、①社隊企業の成長により農村の食糧需要が増大し、国家レベルの食糧統制が行き詰まりを見せていたこと、②そうしたなかで地方レベルの集団経済(主に人民公社)が力を持ち始め、ある意味で地方分権的な状況が出現したこと、③社隊企業の成長は農村社会内の格差拡大と人々の不満をもたらしていたこと、④これが1980年代における下からの人民公社解体の動きへとつながっていったこと、等を明らかにした。 この予備的考察について、以下の学会で口頭報告をおこなった。(a)社会経済史学会全国大会(2018年5月、大阪大学)、(b)World Economic History Congress(2018年8月、ボストン@アメリカ合衆国)、(c)International Workshop of Fourty Years of Reforms in China's Long 20th Century of Modernization(2018年11月、ルーベン@ベルギー)。 また本研究を進めるなかで、1950年代の中国農村社会絵経済についても、新たな問題意識が生まれた。つまり、本研究の課題が人民公社の終焉に関するものであるのに対し、1950年代における農業集団化の始まりについても、考察をすすめた。これについては、日本農業史学会(2019年3月、東京)において報告した。 なお、調査をすすめる過程で、エアランゲン(ドイツ)、香港、上海、北京、東京、京都における史料収集をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一年目にあたる2018年度は、当初の計画通り、ドイツ・エアランゲン、香港、上海、北京において史料を収集した。また収集した史料の読解もある程度進み、予備的考察を確立するという第一年目の目標は達成されたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度にまとめた予備的考察をもとに、学術論文を執筆することが、本年度の主要な課題である。また、ハーバード大やスタンフォード大などアメリカにおいても、ひきつづき史料収集を行う予定である。
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