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2019 年度 実施状況報告書

1970年代における中国農村経済の変容と人民公社の解体

研究課題

研究課題/領域番号 18K12821
研究機関北海道大学

研究代表者

松村 史穂  北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50615953)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード中国 / 毛沢東 / 食糧 / 農業集団化 / 人民公社
研究実績の概要

2019年度においては,本研究課題を行うための予備的研究として(1)を,また課題に直接関わる研究として(2)を並行してすすめた。
(1)2019年11月に上海・華東師範大学において,「従糧食問題来分析農業合作化的加速現象―以1950年代中期為中心―」(食糧問題から分析した農業集団化の加速現象:1950年代半ばを中心に)と題する学会報告を行った。これをもとに執筆した論文「中華人民共和国初期の食糧統制――農業集団化との関連に注目して」が,『農業史研究』第54号(2020年3月)に掲載された。この論文は,中国共産党による農村の土地把握が,従来考えられているよりも粗放的であったこと,そのため食糧統制も不徹底なものにならざるを得なかったこと,そしてこのことが逆説的に農民の農業集団化への参加を積極的に促したことを指摘した。本論文では,上からの圧力により無理矢理集団化に巻き込まれる農民像ではなく,自らの利益の確保のために主体的に行動する農民像を描きだすため,農民の主観的な状況判断や行動選択の過程に着目した。本研究課題は,1970年代に集団農業が解体していくなかで,農民の主体的な判断・行動とはどのようなものだったのかを検討することが目的であるが,それに対してこの論文は,1950年代の集団農業の形成期における農民の価値判断に着目したものだと言える。
(2)2019年8月に華東師範大学において,「毛時代晩期的農村経済変化―以糧食流通為中心―」(毛沢東時代末期の農村経済の変化:食糧流通を中心として)と題する学会報告を行った。これをもとに「1970年代中国における食糧統制の弛緩と農村経済の変容」と題する論文を執筆した。この論文は来年度以降,田島俊雄氏(東京大学名誉教授)が編纂する論文集に収録される予定であるため,ここでの内容紹介は割愛する(出版社等は未定)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度の研究計画においては、研究課題の予備的考察にあたる論文を1本執筆することを目標としていたが、これについては達成された。また研究課題に直接関わる論文についても、原型となる原稿を執筆するところまで進んだ。来年度は、刊行に向けて、原稿のブラッシュアップに取り組む予定である。

今後の研究の推進方策

研究計画に変更はない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 中華人民共和国初期の食糧統制 ―農業集団化との関連に注目して―2020

    • 著者名/発表者名
      松村史穂
    • 雑誌名

      農業史研究

      巻: 54 ページ: 15-28

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評 加島潤『社会主義体制下の上海経済――計画経済と公有化のインパクト』2019

    • 著者名/発表者名
      松村史穂
    • 雑誌名

      現代中国

      巻: 93 ページ: 92-96

  • [学会発表] 毛時代晩期的農村経済変化―以糧食流通為中心―2019

    • 著者名/発表者名
      松村史穂
    • 学会等名
      中国当代史研究中心国際研討会議
    • 国際学会
  • [学会発表] 従糧食問題来分析農業合作化的加速現象―以1950年代中期為中心―2019

    • 著者名/発表者名
      松村史穂
    • 学会等名
      第8届中国当代史研究工作坊
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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