本研究は、農村における集団経営の基盤であった人民公社が、なぜ1980年代前半に解体したのかを考察する。その際、人民公社の解体に自主的にとりくんだ地域と、人民公社の存続を希望した地域の双方を対比的に考察する。本研究で明らかになったのは①1970年代の中国では「緑の革命」の到来ともいえる農業生産条件の顕著な改善が見られた、②一部の農村は「緑の革命」のもとで農業増産を達成し、ついで工業方面でも成功を収めた、③しかしその他多くの農村は「緑の革命」の変化から取り残され、経済格差が拡大したことを明らかにした。そして②の農村は人民公社解体に消極的であったのに対し、③の農村は積極的であったことを明らかにした。
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