研究課題/領域番号 |
18K12823
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 浩司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (80780080)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 南海泡沫事件 / 金融史 / 認知バイアス / 近世史 / イギリス史 |
研究成果の概要 |
本研究は、18世紀ロンドンの金融市場研究に新たな視点を導入し、金融資本主義黎明期における認知バイアスと投資行動の関係を分析することを目的とした。そこで、本研究ではまず合理的な投資家が価格変動をどの程度「人々の狂気」という視点で理解していたのか、つまり社会心理学でいうところのattribution biasの分布を特定するべき分析を行った。次に、このような認知バイアスを醸成した人的な結びつきやコミュニティについて分析をおこなった。その結果、「人間の狂気」による市場理解は、ネットワーク上での距離が遠い場合に特に当てはめられがちである可能性が高いことが判明した。
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自由記述の分野 |
経済史・金融史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現代の株式市場の説明原理としての人間の「愚かさ」は、「非合理的バブル」として現在にまで受け継がれる重要な説明枠組みであるが、そうした視点が生まれる構造そのものを分析する研究は決して多くなかった。本研究を通して、そのような「愚民観」が醸成されやすい社会的・文化的ネットワークの様子を詳細に検討するためには、ネットワーク上の距離やジェンダーや階級などの視点を踏まえてより統合的な分析を進めなければならないことが判明した。こうした視点を踏まえて更なる実証分析を続けることができれば、合理・非合理という二項対立に支配されてきたこれまで南海泡沫事件およびバブル研究の大幅な刷新も可能となるだろう。
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