研究課題/領域番号 |
18K12824
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 真世 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (20782311)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 間接管理 / 炭鉱労働 / 推薦採用 |
研究実績の概要 |
<資料整理>資料調査については昨年度に引き続き、コロナ禍により実施することができなかったが、史料のデータ化、翻刻については、労働力が確保できたため、大いに進捗した。(1)近代日本の炭鉱業として最も栄えた筑豊地方の実態を詳細に記した『筑豊石炭鉱業組合月報』中の「筑豊重要炭山使役人員現在数」および「筑豊重要炭山採炭高」の月次データのデータベース化が1909から1933年について完了した。これにより、筑豊炭鉱業の生産性について長期間にわたって分析することが可能となる。(2)事例研究の対象としている麻生藤棚第二坑の人事日誌を1904年10月から1906年12月までの26ヶ月分の翻刻が完了した。日誌のほかに労務管理に関する記録についても翻刻が完了している。これにより、間接管理から直接管理への移行過程にあった炭鉱企業の労務管理の実態について分析することが可能となる。 <共著書・査読なし>これまでの研究蓄積をもとに、『麻生百五十年史』、「第2編 特集1 麻生炭鉱で働く労働者―納屋制度から直接管理制度へ」「第2編 特集2 「麻生家文書」がこんにちにかたりかけるもの」風土文化社、2022年6月刊行予定(分担執筆)を執筆した。 <学会報告>経営史学会関西部会大会より依頼を受け、当学会のパネル「日本電力業の歴史(History of Japan’s Electric Power Industry)」において、昨年当方がThe Singapore Economic Reviewに出版した「電化が生産と分配に与える効果:1900年代における日本の炭鉱業を事例として(Effects of Electrification on the Coal Industry’s Production and Distribution: Evidence from 1900s Japan)」と題した研究の報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため、国内外ともに学会発表や、資料調査を行うことはできなかったが、2020年度に滞った資料整理については、2021年度は大いに進捗したことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
<資料調査>2022年度は当初より予定していた九州大学付属図書館記録資料館産業経済史料部門への資料調査を複数回実施する。研究に有用な資料を撮影する。 <資料整理>時間は多少減少する予定だが、2021年度に確保できた資料整理要員2名に、引き続き依頼し、また6月頃にさらに1名を追加する予定である。 <研究成果>2021年度に資料整理が大いに進捗したため、それらを分析した研究成果を2022年度には発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症感染拡大により、学会報告や資料調査などに使用する予定であった旅費を使用できなかったことが理由である。2022年度は資料調査を複数回実施する。また、国際学会に行くことは難しいと考えられるため、資料整理のための労働力を追加で確保する。
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