<共著書・査読無し>麻生グループ150周年プロジェクト委員会の依頼により、これまでの研究蓄積をもとに、『麻生百五十年史』に寄稿し、当社史が2023年2月に刊行された。具体的に執筆したのは、「第2編 特集1-3 麻生炭坑で働く労働者:納屋制度から直接管理制度へ」(764-793頁)、「第2編 特集2-3 麻生藤棚第二坑における管理の実態:「日誌」の分析」(806-809頁)である。 <資史料整理>資料整理要員をのべ3名確保することができ、(1)近代日本の炭鉱業として最も栄えた筑豊地方の実態を詳細に記した『筑豊石炭鉱業組合月報』中の「筑豊重要炭山使役人員現在数」および「筑豊重要炭山採炭高」の月次データのデータベース化が、これまでに完了したものとあわせて1909から1935年の27年間について完了した(昨年度から2年間分を新たにデータベース化)。(2)事例研究の対象としている麻生藤棚第二坑の出勤管理簿について、新たに半年分の氏名の翻刻およびそれぞれの勤怠情報のデータベース化が完了した。また、同炭鉱の人事日誌については新たに10ヶ月分の翻刻が完了した。さらに、同炭鉱の「業務日報」とよばれる管理組織(納屋)単位での入坑数・志願数・退坑数などの詳細を記録したものについても15ヶ月分の情報をデータベース化することができた。 <史料調査>2回にわたり九州大学付属図書館付設記録資料館へ赴き、「麻生家文書」の資料を撮影した。間接・直轄管理それぞれの出勤傾向が同時にわかる史料や日々の労務管理について参照できる人事日誌を新たに撮影した。労務管理の違いがいかに生産性に違いをもたらすか、分析することができるだろう。
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