研究課題/領域番号 |
18K12826
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小田 愛 (久野) 京都大学, 経済学研究科, 講師 (00812687)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 研究発表 / 業績報告 / 情報収集 |
研究実績の概要 |
今年度はこれまでの調査や分析の実績発表を主に行うとともに、今後の調査に向けた情報収集を重点的に行った。具体的にはシドニーで行われたSociety for Social Studies of Science (4S)年次大会、及びBusiness History Conference (BHC)年次大会で発表をし、大変有意義なフィードバックを得ることができた。4Sでは、米国における1960年代の食品着色産業の拡大とそれに対する政府の規制を中心に発表を行い、産業の変化と新たな食品規制により、いかに人々の「食」や「自然観」が変化してきたのか分析を行った。加工食品や着色された食品が増大する中で、「自然らしさ」を表現するために人工的手法(着色料等)を用いることが一般的になり、「自然」と「人工」の境界が曖昧になってきた。こうした変化は、食品産業のみの問題ではなく、人々が自然や社会をいかに理解し認知するかとも深く関わっており、本課題全体の主なテーマの一つの事例分析を報告する形となった。BHCでは、私がセッションオーガナイザーとなって、発表セッションを企画・提案し、他2名の研究者とともに今後の経営史研究をいかに実践していくべきか討論を行った。私自身の発表では、経営史研究の中でいかに感覚が重要な分析軸となりうるかを、食品の色の歴史を事例に発表を行った。いずれの学会発表においても、専門分野が近い研究者だけでなく、広く様々な分野の研究者とも交流することができ、今後調査を進める上で、調査先や内容を広げることが期待できる。また、発表内容に対しても概ね評価を得ることができ今後調査を進める上での指針ともなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、主に米国(ハーバードビジネススクール)のアーカイブスで調査を行うとともに、国際学会に業績報告を行った。また学会では他の参加者らからフィードバックなどを得ることができ、予想していた以上に情報収拾が進んでいる。今後はそれらの情報をもとにアーカイブスで調査を進める。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、米国、ヨーロッパ(主にイギリス、スイス、オランダ)、日本のアーカイブスで資料収集を行う予定である。また、年間2回程度国際学会で調査の成果報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査先を更に調べたり、他の研究者からのアドバイスを得たことで調査先が当初の予定よりも増えることとになったため、来年度に使用する必要が出てきた。また未定となっていたオランダで開催される学会での発表が確定したため、それに合わせて調査・学会発表の旅費が必要となった。
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