2023年度は海外調査および国際学会に複数回参加するなど、コロナ禍で遅れていた研究を進めることができた。 まず4月にはメキシコシティで行われたBusiness History Conference年次大会がハイブリッド形式で開催され、私自身はプログラム委員の一人だったため現地に赴き参加した。対面参加者数は例年ほどには回復していなかったものの、学会の発表やディスカッションを通して有意義な意見交換を行うことができた。特に自身の研究については、他の参加者から研究手法等についてアドバイスを得ることができた他、分析枠組みを見直すことにもつながった。 また9月に行なった研究調査では、米国・ワシントンDCにある議会図書館と国立アメリカ歴史博物館の文書館にて、工業デザインの歴史に関する史料を収集した。議会図書館では、エドワード・バーネイズという20世紀半ばに活躍したデザイナー兼コンサルタント、および著名な工業デザイナーであるレイモンド・ローウィの貴重な史料(主に彼らのビジネスに関する手紙やクライアントに関する情報、マーケティング戦略に関する文書など)を見ることができた。国立アメリカ歴史博物館でも同時期の工業デザイナー複数名の史料を収集した。特に広告やパッケージに関連するデザインについて調査を進めることができた。これらの史料をもとに、10月以降は、史料分析を行うとともに新たに論文執筆を始めた。今後それらの研究成果報告を国際学会や論文を通して行う予定である。
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