本研究は、近代日本の産業化に伴って生じた山林負荷を、用途(産業)別に推定しながら解明した。各用途の山林負荷は、これまで木材消費量によっていたが、本研究では、山林負荷を軽減する植林や節約、さらに輸移入材の利用について考察した。その結果、各用途の山林負荷は木材消費量に必ずしも比例せず、時期的に変化していたことが明らかになり、消費量の多かった建築用材の山林負荷の評価は大きく下方修正された。また以上の考察から、戦時統制期より戦前の方が、市場機能が働いて節約や輸移入材の利用がみられた分、全体として山林負荷は軽減され、戦前日本の森林「崩壊」は回避されたことが示された。
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