戦後の移民法改正で高技能移民を優先的に受け入れたアメリカには、技術者など専門職に就くインド人移民が増大した。本研究はインド人移民受け入れの歴史的背景を明らかにするため、フォード財団によるインド人技術者の養成過程を分析した。19世紀以来、技術者、専門家の派遣を通じた欧米からインドへの技術移転はあったが、戦後フォード財団はアメリカの大学や企業への留学生や訓練生の受入資金の提供、インド工科大学設立への資金協力などインドの人材育成に力を注ぎ、冷戦期アメリカの技術援助政策の主要な担い手となった。先端的科学技術を吸収したインド人はアメリカへの転出を繰り返したが、その背景にはアメリカによる技術移転があった。
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