本研究の目的は、東京大学未来ビジョン研究センターで実施された社会人向けプログラム「戦略タスクフォースリーダー養成プログラム」の受講生及びその上司に対してアンケート調査を行い、日本企業において従業員の社外での学び直しを効果的に活用するために重要な要因は何かについて明らかにすることである。 最終年度である2021年度は、これまでに回収したアンケートのデータを整理し、それを用いて統計的分析を行った。特に、プログラム修了半年後に実施したフォローアップアンケート調査のデータを追加し、より長期的な学び直しの成果についても検討した。2018年度及び2019年度の修了生を対象としたフォローアップアンケート調査の回答を用いて分析を行ったところ、会社や上司の指示で受講した受講生よりも自ら志願して受講した受講生の方が学び直しの成果が高いこと、特にリーダーシップの向上や学習の継続といった個人レベルでの成果が高いことがわかった。この研究結果は、研究・イノベーション学会で報告された。 加えて、近年のデジタル社会ではデータ利活用の進展が不可欠であること、分析対象とした「戦略タスクフォースリーダー養成プログラム」でもビッグデータやAIの活用が主要なテーマの一つであったことを踏まえ、企業におけるデータ利活用についても分析を行い、要点を整理した。分析の結果、企業で取り扱うデータの量というよりはむしろ、データを使いこなす組織の能力が重要であることが明らかになり、ビジネスを担う部門とデータ解析を担う部門を橋渡しできるような人材の有効性等について考察した。この研究結果は、研究技術計画及び日本知財学会誌において報告された。 これらの研究結果を踏まえ、第4次産業革命時代における社会人の学び直しについて考察した。
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