• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

従業員の自発的行動を促す人間関係要因の実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K12840
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

高島 健太郎  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90805566)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード自発的行動 / 内発的動機付け
研究実績の概要

本研究は,自発性の高い従業員がしばしば日常生活と未分離の認識で行う業務上規定されない活動を自発的非正規行動と定義し,その程度の量的把握と人間関係要因との関係を明らかにすることを目的に掲げている.
2018年度は予備的調査として,質問紙調査により,自発的非正規行動の背景にある因子を明らかにすることで,その類型化を試みた.2018年度の結果を受けて,2019年度に行ったことは次の2点である.
①2018年度の分析結果の内容をまとめ,国内学会,国際学会(査読あり)にてそれぞれ1件ずつ発表を行った
②自発的非正規行動と人間関係要因,組織におけるパフォーマンスの関係について,追加の質問紙調査を行った.この調査を行った理由は2点ある.第1の理由は,昨年度の予備調査が主に若手社員を対象として行ったものであり,サンプルの偏りによる懸念から,得られた知見の一般性を確認するためである.第2の理由は,研究計画書にて提示した研究のフレームワークに沿った調査を行い,自発的非正規行動と人間関係要因,パフォーマンス要因との関係について質問紙調査のレベルで確認をするためである.先行研究を参考に,人間関係要因については1.社内の人間関係の豊かさ,2.社外の仕事関連の人間関係の豊かさ,2.社外の非仕事関連の人間関係の豊かさの3つを,パフォーマンス要因については1.タスクパフォーマンス,2.文脈的パフォーマンス,3.非生産的仕事行動の3つを設定した.約1000名の会社員を対象とした質問紙調査の結果,自発的非正規行動の背景因子として5つの因子を得た.これらは意味的に2018年度の予備調査で得たもとの類似しており,一定の程度の一般性が示された.しかしながら,いずれの因子においても,因子スコアと人間関係要因・パフォーマンス要因の各スコアとの間に強い相関は確認できなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2つの理由が挙げられる.第1に,2019年度に行った調査の結果が想定と異なり,自発的非正規行動と人間関係要因,パフォーマンス要因との間に強い相関を示すものではなかったことである.それゆえ,同様の検証を,経験サンプリング法を用いて行っても,望ましい結果が得られない可能性がある.強い相関が示されなかった理由として,幅広い年代と職位の被験者の結果を一括して分析を行っていることが考えられる.年代や職位によって自発的非正規行動を行うモチベーションが異なることはありうる.今後,このようなデモグラフィック属性によって傾向が異なる可能性を考え,理論と結果を見直し,自発的非正規行動と人間関係要因,パフォーマンス要因の関係に影響を与えうる変数の絞り込みとその影響の確認を行っていきたいと考えている.
第2に,経験サンプリング法を適用するにあたり,昨今のコロナ禍の下,これまでの平常時における業務活動を想定した結果データを取得することが難しい可能性がある.テレワークを行う人の割合が増え,また失業の不安が広がる中,自発的非正規行動の実態とモチベーションは平常時と異なる可能性がある.これについては筆者が制御できる問題ではないため,研究の議論の前提を変更するか,経験サンプリング法を中止しコロナ禍以前の状態を回顧してもらう方式の調査に切り替えることを検討する.

今後の研究の推進方策

まず,2019年度の結果が想定と異なったものであったことに関して,前項で述べた通りデモグラフィック属性を調整変数として加え,フレームワークを変更できないかを検討する.既に多くの調査を実施済みであるため,理論からのアプローチだけでなく,取得済みの結果データからも変更したフレームワークの妥当性を吟味する.同時に人間関係要因,パフォーマンス要因に代わる,新たな先行する要因,結果として表れる要因について検討する.例えば先行する要因としては従業員のキャリア意識や職務満足,結果となる要因としてはキャリア自律に関する意識などが想定される.
また,コロナ禍による勤務の状況の変化については対策が難しいが,収束することを想定し,経験サンプリング法を用いた調査の準備を進める.しかしながら,調査先との調整は難航することが予想され,実施ができないこともありうる.場合によっては調査の規模の縮小や調査法の変更を行う.また,平常時という前提を棄て,テレワーク環境が求められるということを研究の前提に置き,その影響について考察をするよう研究の内容を調整することも検討する.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により,実験データ取得に向けた調査先との打ち合わせのための複数回の東京への出張がキャンセルとなったため.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 若手従業員の規定の仕事以外の活動への意欲と組織コミットメントとの関係に関する分析2019

    • 著者名/発表者名
      西垣 朋哉,竹下 智之,高島 健太郎
    • 学会等名
      経営情報学会春季2019年全国研究発表大会
  • [学会発表] Analysis of the Relationship Between Motivation for “Work for Non-core Business” and Organizational Commitment of Young Employees2019

    • 著者名/発表者名
      Takashima, K., Nishigaki, T., Takeshita, T.
    • 学会等名
      2019 International Conference on Industrial Engineering and Engineering Management
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi