研究課題/領域番号 |
18K12841
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
庭本 佳子 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (70755446)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人事制度 / 多様性 / グローバル人事制度 / ダイナミック・ケイパビリティ / 人的資源管理 |
研究実績の概要 |
本研究の研究課題は、「ダイバーシティ経営における知識の構成・再構成プロセスの探究」である。具体的には、インターパーソナルなレベルでの知識のやりとりを通して、個人と組織の能力が形成されていくメカニズムが探求される。本年度は、日本企業における多様な人材管理の現状と課題が分析され、とりわけ経営のグローバル化を進めるうえで外国人社員の活用をいかにうまく行っていくのか、本国社員と外国人社員との協働を進めるためのマネジメントという観点から研究が進められた。 新型コロナウイルスの世界的流行の影響により、本年度の調査計画をかなりの部分で変更せざるを得なかったが、ヒアリング調査から、日本企業で形成されつつある多国籍内部労働市場の制度設計と運用実態が探索的に明らかにされた。また、これまで蓄積してきた5つの調査プロジェクト結果を俯瞰し、1990年代以降の日本企業における人事システムの変化過程をを合わせて分析した結果、グローバル市場主義に影響されながらも、旧来の日本型人事システムとの連続性が強く意識されていることが確認された。 この分析をもとに、典型的な日本型人事管理制度を展開している日本企業と、グローバル標準の人事管理を展開している日本企業というグローバル人事制度の導入・運用実態が対照的な企業の比較が行われた。その結果、多様な人材の持つ知識を組織成果にトランスミッションする人事管理過程を分析する軸として、「人事コーディネーションの柔軟性」が経験的に描き出された。多様な人材の利害を調整しながら、新たな人事制度を設計運用していく人事管理過程においては、人事コーディネーション(再配置)と人事管理ルーティンとの学習梯子が重要になることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的流行の影響で、日系多国籍企業の海外現地法人への調査が延期されたため、本研究がとるグラウンデッドセオリー・アプローチによるメカニズム解明が困難になった。 また、本年度に予定していた国際学会での発表が中止となったものもあるが、次年度に合わせて成果発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、延期されている調査を急ぎ進める。それととともに、今後も海外現地法人での聞き取り調査が困難になる可能性があるため、グラウンデッドセオリー・アプローチの代替手段としてサーベイ調査によるモデルの補強を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的流行により、海外現地法人での実地調査が延期になったこと、アクセプトされた国際学会がオンライン開催となり出張がなくなったことにより生じた。翌年度分と合わせて、サーベイ調査に切り替えて国際比較を行い、本年度に断念した成果発表の場を多く設ける計画をたてている。
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