研究課題/領域番号 |
18K12845
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研究機関 | 多摩大学 |
研究代表者 |
初見 康行 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (50737286)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 離職 / 離職行動 / 退職 / 退職行動 / 自発的退職 |
研究実績の概要 |
2020年度は、これまで取得したパネルデータを用いて、「離職行動」に影響を及ぼす要因を分析した。今回の結果から得られた知見は大きく3点である。第1に、「離職意思」は必ずしも将来の「離職行動」を予測しないという点である。本分析では、離職意思を含む「仕事上の要因群(on-the-job components)」と「仕事外の要因群(off-the-job components)」を説明変数、1年後の「離職行動(離職の有無)」を応答変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。分析の結果、「離職意思」は1年後の「離職行動」に有意な影響を与えないことが確認された。本結果のみで判断はできないが、「離職行動」は「離職意思」のみで誘発される行動ではなく、「離職意思」以外の多様な要因群を加味した分析が必要であることが確認された。 第2に、「離職行動」を予測する上で最も重要な要因は、「1年以内の離職経験」であった。オッズ比はExp(B)=3.91であり、1年以内の離職経験がある人は離職行動に至る可能性が約4倍高いことが確認された。また、「仕事上の要因群」の中で「離職行動」に有意な影響を与えていた要因は、「勤務地に対する満足感」、「労働時間に対する満足感」などであった。全般的に仕事の「環境面」が有意な影響を及ぼす傾向があり、「職務満足」や「能力開発」などの仕事内容自体は有意な影響を及ぼしていなかった。 第3に、「仕事観」や「転職観」が「離職行動」に有意もしくは有意傾向の影響を与えることが確認された。具体的には、私生活よりも仕事を重視するほど、また、「今の時代、複数の企業を渡り歩くことが普通だ」という転職観を持っているほど、「離職行動」が促進されることが確認された。今後は交互作用項などの分析手法を用いて、どのような要因の掛け算が「離職行動」を促すかについて分析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、研究の進捗に遅れが出ている。具体的には、学会の中止や講義のオンライン化に伴う準備等で、2020年度は円滑に研究活動が進まなかった。そのため、研究期間を1年間延長して研究を継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、研究期間を1年間延長した。今年度は、学会発表や論文執筆など、分析結果を積極的に発表していく。具体的には、本年度中に投稿論文を作成し、日本労務学会、経営行動科学学会等に投稿する.また、研究をより深化させるために、第4回の定量調査を行うかを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額2万9,432円については、必要な参考書籍等の購入に使用予定である。
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