研究課題/領域番号 |
18K12859
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
牧 兼充 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 准教授 (60348852)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 大学発ベンチャー / カリフォルニア大学システム / 暗黙知の移転 / 知的財産権 / カリフォルニア州 |
研究実績の概要 |
スター・サイエンティストとは、卓越した研究業績を残す少数のサイエンティストのこと を指す。通常の研究者に比べて多くの論文を出版し引用を集め、更に成長率の高いベンチャー企業を設立する傾向にあることが米国の1980年代のバイオテクノロジー分野において観察されている(Zucker & Darby)。本研究では、先行研究のフォーカスを広げ、2000年から現在までの間にサイエンティストが関与する研究分野全般におけるスター・サイエンティストの分析を行い先行研究の理論の一般化及び分野間の差異の分析を試みる。またカリフォルニア大学発ベンチャー企業データセット(2000年以降の特許ベースの全ベンチャー企業541社を含む)を活用し定量分析を行う。さらに2000年以降に設立されたカリフォルニア大学発の特許ベースのベンチャー企業に焦点を絞り、スター・サイエンティストの関与の有効性を検証する。この検証を行うことで、Zucker教授らによる「スター・サイエンティスト」に関わる現象が1980年代のバイオテクノロジー分野における特異な現象なのか、それとも一般化が可能なのかを明らかにする。 1年目は、関連研究調査と仮説のブラッシュアップ ・スター・サイエンティスのデータセットの作成 ・基礎的な定量分析(スター・サイエンティストの成功への影響)を実施した。また共同研究者との連携によりサンディエゴ地域にフォーカスしたスター・サイエ ンティストの動向や特性についての調査も行った。 2年目は、SBIR (Small Business Innovation Research)と絡め、UCシステムにおけるスター・サイエンティストに関わるベンチャー企業の特性について分析し、共著論文としてジャーナルへの投稿を行い、更にサンディエゴのスター・サイエンティストに個別インタビューを行い、定性的な調査を行いレポートにまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時に計画した、以下の項目について順調に達成した。 2018年度:・関連研究調査と仮説のブラッシュアップ ・大学発ベンチャーとスター・サイエンティストリストのデータセットの結合 ・データの分析(生存率への影響 / データの分析(エグジットへの影響 / 資金調達への影響) 2019年度:・検証のためのスター・サイエンティストへのインタビュー ・成果のとりまとめと論文の執筆 University Spin-off Firms and Public Subsidies: The Effectiveness of SBIR Awards for Subsequent Venture Capital Investment”(査読中) この成果は、大学発ベンチャー企業におけるSBIRの役割と結合する形で論文を共著で執筆し、ジャーナルに投稿、現在査読中である。また、この補助金の目的をより精緻に達成するための研究を実施するため、期限を1年間延長した。特に、検証のためのスター・サイエンティストへのインタビューを、追加して行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
当初想定した研究項目については概ね達成した。この補助金の目的をより精緻に達成するための研究の実施を行うため、研究の期限を1年間延長した。特に、検証のためのスター・サイエンティストへのインタビューを追加で行う予定である。 また今までの研究の幅を広げるために、引き続きスター・サイエンティストの研究を拡充する予定である。特に、以下の研究課題について実施することを考えており、必要に応じて、研究資金への応募を行う。 ・日米のスター・サイエンティストの誕生要因の比較 ・サンディエゴに立地するスター・サイエンティストの更なる特性の分析 ・日本のスター・サイエンティストの知財管理マネジメントに関する研究
|
次年度使用額が生じた理由 |
この補助金の目的をより精緻に達成するための研究の実施を行うため、研究の期限を1年間延長した。特に、検証のためのスター・サイエンティストへのインタビューを追加で行う予定である。この背景としては、COVID-19の影響により、2020年2月、3月に海外出張ができなかったことがある。
|