研究課題
若手研究
本研究の目的は,ワーク・ライフ・バランス支援制度が従業員の仕事と生活におけるアイデンティティ形成に及ぼす影響について明らかにすることにあった。 研究の結果から,人材マネジメントおよびワーク・ライフ・バランス言説の影響のもとで,管理制度と共に理解される従業員のアイデンティティ形成を捉える理論的枠組みが提示された。また,そうした枠組みに基づいた経験的研究によって,従業員は人材としての自分と生活者としての自分を併せもつアイデンティティを形成していることが明らかとなった。
人的資源管理
本研究の学術的意義は,ワーク・ライフ・バランス支援制度によって形成される従業員のアイデンティティの多様性を示すことで,既存の人材マネジメント研究における人間観に対する新たな知見を提示した点にある。また,社会的意義に関しては,仕事と生活のアイデンティティ間の葛藤とその折り合いのつけ方の具体例を示し,そうした葛藤を抱えた従業員に対する新たなマネジメントの可能性を提示した。