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2019 年度 実施状況報告書

地銀統合データベースを用いた実務利用可能な高精度LGD推定モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K12873
研究機関早稲田大学

研究代表者

田上 悠太  早稲田大学, 商学学術院(ビジネス・ファイナンス研究センター), 助教 (60805050)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード信用リスク / デフォルト時損失率
研究実績の概要

今年は、推定精度の向上のために転移学習を応用を試みた。転移学習はある特定の学習課題に対して、それに類似した学習課題での学習成果を応用する方法である。機械学習、人工知能分野で用いられる手法であり、様々な分野で成果が報告されている。転移学習は信用リスク研究においても利用されて、その成果が明らかにされている。具体的には、デフォルト予測において、大企業のデフォルト予測をソース学習とし、それを中小企業に転移することで、中小企業のデフォルトの予測精度が向上することが示されている。LGD推定における問題として、データが少ないこと、LGDと説明変数の関係が複雑である点が挙げられる。そもそも本研究で用いている地方銀行統合データベースは、他の研究に比べデータ数が多いが、それでも複雑なLGDと説明変数の関係を十分に解明するためには十分な量であるとは言えない。また、個別銀行に対してモデルを作る際には、データ数が更に減少する問題がある。転移学習を用いることでデータ数が少ないことに対しての対策が可能になる。また、転移学習は深層学習がベースになっているため、LGDと説明変数の間の複雑な関係を取り込むことが可能となる。本年は銀行間の転移学習を試み、その成果の検証を試みた。具体的には、統合データベースに含まれる複数銀行の統合モデルを作成する。そして、複数銀行の統合モデルで学習した成果を個別銀行でのモデル作成に応用することで推定精度の向上を試みた。また、深層学習モデルのチューニングを行い、LGDと説明変数の間の複雑な関係を取り込みLGD推定の精度向上を試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今年度は上述のとおり、LGD予測に関して銀行間の転移学習を試みた。しかし、深層学習を用いた転移学習は大量のパラメータが含まれており、また、自由度が非常に高いため学習が複雑であり、最適化が用意ではない問題がある。そのため、実際に最適なモデルを構築することが困難であった。更に、転移学習は自由度が高いため、学習の結果が効果的なのか効果的ではないのか十分に検討することができなかった。

今後の研究の推進方策

来年度もLGD推定モデルの推定精度向上のために、転移学習を応用することを予定している。具体的には、以下のような転移学習を行うことを予定している。引き続き銀行間の転移学習を試し、予測精度が向上するかを確認する。また、企業規模の異なる場合の転移学習について検証する。先行研究において様々な規模の企業のデフォルトに関して転移学習が効果的であることが示されている。具体的には、大企業のデフォルト予測をソース学習とし、それを中小企業に転移することで、中小企業のデフォルトの予測精度が向上することが示されている。この研究を参考に、LGDに関しても規模の異なる企業に関して転移学習で推定精度が向上するかを確認する予定である。また、類似指標を用いた転移学習について検証する。LGDと関連の強い変数に対しての予測問題をソース学習として、LGD予測に転移することを検討している。具体的には、保証、担保、現金等の変数はLGDと関連している。また、これらの変数はデフォルト企業以外に関しても記録されている。そこで、これらの変数を目的変数としたモデルを作成し、それをLGDに転移することで予測精度が向上するかを確認する。

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗の遅れにより、予定していた学会発表費、物品購入、英文校正費等を用いなかったためである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Oracle inequalities for sign constrained generalized linear models2019

    • 著者名/発表者名
      Koike Yuta、Tanoue Yuta
    • 雑誌名

      Econometrics and Statistics

      巻: 11 ページ: 145~157

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.ecosta.2019.02.001

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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