研究課題/領域番号 |
18K12879
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
西原 彰宏 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (10634272)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高関与行動 / 製品関与 / 自己関連性 / 顧客ロイヤルティ / 顧客エンゲージメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、消費者によってなされる様々な高関与行動を体系的に捉えるため、関与概念の概念規定、理論的枠組みの構築ならびに精緻化を図りながら、消費者の関与水準(あるいは関与度)を正確に捉えるための関与尺度を開発することである。 本年度の主な研究成果は以下である。まず、関与概念の概念規定や尺度構築が行われ今もその中心的な位置づけとなっている1980年代に行われた先行研究レビューを通じて、概念整理を行ったことである。その結果、関与それ自体は消費者が動機づけられた興味や関心などが喚起された状態を指す概念であること、消費者行動研究における関与概念の源流となる社会心理学における自我関与が自己関連性と関与に弁別出来ることが確認された。さらに、自己関連性を関連性と重要性という2つの構成概念からなる概念とするか、あるいは、自己関連性と自己重要性に弁別して捉えることが有用であることが確認された。そして、併せてこれらの既存の尺度項目の整理を行った。この点に関しては引き続き整理が必要であるが、こうした関与概念に関わる先行要因と結果の弁別を正確に行うことで関与概念そのものを正しく捉えることが出来るようになるため非常に重要となる。 加えて、現在注目を集める消費者による高関与行動の1つであるエンゲージメント概念を、これまでの研究蓄積の多いロイヤルティとの対比から概念整理を行った。関与概念を先行要因と結果と弁別することに加え、消費者の高関与行動を体系的に理解する上で特に重要な両概念について整理を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にて前述した通り、平成31年(令和元年)度の中心的な内容となっていた文献研究と調査設計および尺度項目の整理が中心であった。当初の計画では消費者の関与尺度の整理を行い、質問紙調査を行う予定であったが、関与概念とその規定要因や結果について新たな変数や概念が加える必要性が生じたためである。これは、関与概念が消費者行動の多様な行動を説明する非常に重要な概念であるにも関わらず、その概念規定において規定要因(先行変数)や結果といった異なる内容が関与概念として捉えられているため、その弁別を行い、概念間の関係を整理するのに時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
3年目にあたる令和2年度については、令和元年度にて整理を行った概念やその尺度項目に対して、主に先行研究における関与概念尺度を用いた予備調査を行う。また、関与概念の規定要因や結果との弁別の妥当性をチェックするため、そして、尺度構築のためのインタビュー調査や質問調査を行う予定である。その際、現在の社会情勢を鑑みながら、利用可能な調査方法を柔軟に変更させたりしながら調査及び研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度において「次年度使用額」が生じた。理由は、令和元年度に実施予定であった調査を令和2年度に実施することとなったためであり、それに応じて、各費目での未使用分が生じた。そのため、その使用額については、主に調査に充当させる予定である。
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