研究課題/領域番号 |
18K12880
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
大西 浩志 東京理科大学, 経営学部経営学科, 准教授 (10778202)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デジタル・マーケティング |
研究実績の概要 |
デジタル・マーケティングは、国内外において過去10年以上に渡り多くの研究が行われてきた。本研究は、本領域で未だに解決されていない以下の2つのオープン・クエスチョンを取り扱う。課題(1)オフライン(テレビCMなど)とオンライン(バナー広告など)のメディア接触と購買行動の関係を包括的に扱うため、実証研究として、オンラインとオフラインの双方に渡る大規模なシングルソース・データを利用する。課題(2)メディア接触と購買行動の因果関係の推定におけるバイアスとなる内生性へ対応するため、最新のマーケティング・サイエンスのデータ解析手法である構造推定モデルによる分析を行い、頑健で精度の高い推定を行う。 本年度は、企業から提供を受けたオンラインデータを含むシングルソース・データを使って、オフライン・メディア(テレビCMとPR)とオンラインにおける消費者行動(製品情報の社会的学習行動)との関係の理論モデルを提示し実証研究を行った。消費者が新製品を購入するかの選択行動と商品情報を学習するプロセスを、先行研究で提示された社会的学習と自立的学習のプロセスに分解して推定する構造推定モデルを提案し、推定パラメータの一致性を保持しつつ計算量を大きく減少させることができた。分析結果より、オフライン・メディアによるマーケティング活動が、社会的学習に対して影響を与えることを明らかにした。さらに、オフライン・メディアの出稿パターンが学習行動に与える影響のシミュレーションを行い、製品購買の確率を高めることを示した。研究成果は2018年11月に開催された国際学会にて発表し、研究論文も査読付き国際学術誌に投稿し採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、計画通り、企業からの提供データを用いて商品カテゴリとデータ期間を絞り、基礎的な理論モデルの構築と実証分析を行った。研究論文も査読付き国際学術誌に採択された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、追加的な定量調査を実施し、本年度の研究成果で得られた理論モデルをさらに進化させる予定である。また、商品カテゴリとデータ期間を拡大して、新たな分析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究協力者との打合せを、別件の海外学会出張と合わせて実施したため外国旅費に差額が生じた。次年度の海外旅費に援用すると同時に、追加データの分析補助アシスタントの費用とする予定である。
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