本研究の目的は,分位点回帰をマーケティング・データへ応用することである。線形回帰分析の回帰係数で理解できるのは説明変数の条件付き期待値に対する効果であるのに対し,分位点回帰の回帰係数は条件付き分位点に対する効果を理解できる。これにより,消費者の行動をより深く理解し,ターゲット顧客に応じたマーケティング戦略への示唆を得ることが期待できる。 これまでの研究で,消費者の様々な製品・サービスに対する購買意向・実態と広告接触を記録したシングルソースデータを用いて広告の効果測定を行い,購買意向が高いまたは購買数量が多い消費者と低い消費者では効果的な広告媒体が異なることを示した。2022年度からは発展的な研究として,Q&Aサイトのおけるサービス利用・離脱についての研究を行い,投稿されたテキストから推定した質問投稿者の興味・関心との関係を分析を行った。2023年度も引き続き,Q&Aサイトのおけるサービス利用・離脱についての研究を行い,分位点回帰の応用を行うため,モデルの検討・改良を行った。特定分野への興味・関心の高さ・低さによって,サービスの利用頻度や離脱速度が違うことが分かれば,サービスの利用促進や離脱防止への示唆を得ることが出来る。
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