本研究の目的は、特定ブランドを好む人々の集団、ブランド・コミュニティに参加するメンバーの多様性を考慮し、彼/彼女らをいくつかのグループに分類することである。また、分類した後、各グループに対しいかなるマーケティング施策を行っていけばより効果的なブランド・コミュニティの管理ができるかを検討する。 平成31年度/令和1年度においては、主に先行研究のレビューから導出された分類軸に基づき調査・分析を行った。その結果、ブランド・コミュニティのメンバーの分類に関する研究報告を、学会発表と論文、学術書等にて行なった。 本研究では、ブランド・コミュニティでメンバーが構築・維持している2つの関係性 (メンバーとブランドとの関係性、メンバー同士の関係性) に着目し、それぞれを示す代理変数として「ブランドとの同一化」と「コミュニティとの同一化」という概念を用いてメンバーの分類を試みた。その結果、どちらもが低水準の低同一化グループ、コミュニティとの同一化が中低水準でブランドとの同一化が中水準の中低同一化グループ、コミュニティとの同一化が中高水準でブランドとの同一化が中水準の中高同一化グループ、どちらもが高水準の高同一化グループの4つのグループに分けられることを明らかにした。 また、各グループのメンバーはコミュニティ内で行う相互作用の種類、表出的行為と道具的行為という点においても差が見られ、低同一化グループから順に両行為を行う傾向が高まることも発見している。それによって、各グループのメンバーがいかにブランドとの関係性を強化していくのかについても把握することができよう。
|