先行研究の広範なレビューからは、のれん及びのれんの減損情報の開示水準は経営者による開示戦略に裁量的に用いられていることが確認された。その一方、開示水準を測定するための開示スコアの算定方法が研究によって異なるため、妥当性の高い開示スコアの測定方法を確立する必要性があることについても明らかとなった。また、日本企業を対象とした本研究の分析結果からは、のれん発生額が大きいほど注記における企業結合の理由説明は長く複雑なものになる傾向にあるということや、その理由説明の文章がある程度の文字数までは将来業績に好影響を与えるが、文章が長くなりすぎると逆に将来業績にマイナスの影響を与えることが示された。
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