研究課題/領域番号 |
18K12892
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
徐 智銘 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助手 (20805197)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 管理会計 / ハイパー・コンペティション / 品質管理 / 質問票調査 / 在中国製造企業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,ハイパー・コンペティションにおいて一時的な競争優位の獲得・維持(喪失)を支援(緩和)する管理会計チェンジの連鎖の特徴解明にある。具体的には,第1にハイパー・ハイパー・コンペティションにおける先進的管理会計手法の導入・利用特徴について,第2にハイパー・コンペティションにおける管理会計チェンジの連鎖・連続化と競争優位の状態,効果的な管理会計チェンジとの関係性について,本年度は追加的文献調査と,質問票調査およびフィールドスタディなどを予定していた。 追加的な文献調査は計画通り進行し,日本国内の上場企業を対象とした質問票調査,日本国外の上場製造企業を対象としたフィールドスタディなども計画通り進行した。 上記の調査・研究から,第1の研究課題について,予備的分析として論文を投稿中であり,その主な研究成果はハイパー・コンペティションに直面する状態といわれる在中国製造企業(含外資系事業・生産拠点)において,先進的管理会計手法の導入・利用と,品質とコストとのトレードオフ問題との関係性に着眼していた。その結果,従来指摘されてきた先進的管理会計の導入・利用と品質優先の事業戦略との親和性が十分に確認されず,ハイパー・コンペティションに備えた品質とコストのバランスを考慮した事業戦略においては先進的管理会計の導入・利用が機能する可能性が強調される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の第2の研究課題について,日本国内の上場企業を対象とした郵送質問票調査と,中国の上場製造企業を対象としたフィールドスタディを行った。前者についてはこれまでの調査・分析結果と比較しながら,調査報告書を執筆中であり,後者については売上高・営業利益のV字回復を目指す製造企業における一時的な措置としての管理会計チェンジの特徴抽出のため,インタビューによる音声データ,社内資料に基づき,鋭意分析中である。 既述の通り文献調査は計画通りに進行した。質問票調査について,在中国製造企業を対象とした質問票調査のデータに基づく予備的分析を行い,論文として査読付き雑誌に投稿中である。また日本の上場企業を対象とした調査も既に実施済みであり,調査報告書は執筆しているなど,概ね計画通りに進行した。フィールドスタディについても,日本国外の企業から長期的な調査協力を得ており,計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの計画通り,追加的文献調査を実施しながら,日本国内外の企業への訪問調査や国内外学会での研究成果の情報発信・意見交換をする計画である。加えて,日本の上場企業における管理会計利用特徴・経時的変化に関する実証分析,在中国の上場製造企業における事業業績管理のチェンジに関するフィールドスタディを今年度に実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由について,第1に,郵送質問票調査の実施費用(印刷代・封筒作成料金など)は見積額に基づく交渉・検討により,安く実施することができたことであり,第2に,企業訪問やフィールドスタディの旅費の一部は,本年度における訪問先の予定・日程変更に合わせて次年度での実施にしていた。 また,使用計画について,現在投稿中の論文が採択される場合で発生する掲載料の一部と,フィールドスタディの旅費の一部として使用する予定である。
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