研究課題/領域番号 |
18K12894
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
仲尾次 洋子 名桜大学, 国際学部, 教授 (20320533)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 異文化会計 / 海外子会社 / グローバリゼーション / アドプション / ローカリゼーション / 会計行動 / IFRS / 会計国家戦略 |
研究実績の概要 |
31年度・令和1年度は昨年度までの台湾進出小売業・サービス業を対象としたインタビュー調査をもとに、対象を製造業に拡大し、現地でのインタビュー調査を行う予定としていた。しかしながら、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、台湾への入国が叶わず、調査が実施できなかった。 一方、台湾会計制度の基礎研究として、『台湾の会計制度ー会計基準の国際化と国家戦略』(同文舘出版)から出版した。本書は、4部(第1部:台湾会計制度の基礎と会計基準の国際化、第2部:会計制度の選択が個別企業に与えたエフェクトの分析、第3部:会計制度の選択に対する関係主体の評価、第4部:中小企業向け会計基準の設定による会計制度の整備)から構成される。研究の結果、台湾における会計制度選択の特徴として、以下のように整理できる。①国際財務報告基準(IFRS)アドプションの背景には、世界的な潮流、財務報告の比較可能性の強化、台湾資本市場の活性化に加え、リーディング産業にもたらされるベネフィットおよび会計基準設定の効率化がある。②IFRSのアドプションはコンバージェンスのプロセスを経たことにより、ローカルGAAPからの直接の転換に比して、その影響を抑えることが可能となった。③アドプションのプロセスにおいて、リーディング産業である一部のグローバル企業に経済的・人的資源を先行投資し、IFRSを成功裏に適用させ、模範事例として広く公開し、すべての公開企業のスムーズなIFRS適用を促進した。 本書は、会計制度の構築に関する新たなモデルを提示するという意味で学会への貢献の可能性、また台湾進出企業にとってのガイダンスとしての意義があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地での調査という点では、新型コロナウィルス感染拡大の影響で遅れているものの、研究テーマの基盤をなす台湾の会計制度を纏めて出版できたことは研究促進にとって意義がある。
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今後の研究の推進方策 |
台湾進出製造業を対象としたインタビューをメールやオンライン会議で実施する。そして、国際会計基準による財務情報が経営管理に役立つか、またグローバルな意思決定が促進されるかについて分析を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大により現地での調査が実施できなくなり、物品を購入したが残額が出てしまった。
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