研究課題/領域番号 |
18K12894
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
仲尾次 洋子 名桜大学, 国際学部, 教授 (20320533)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 台湾 / 会計基準設定主体 / 海外子会社 / IFRS |
研究実績の概要 |
令和2年度に予定していた現地進出日本法人やそれらをサポートする会計事務所のインタビュー調査はコロナ禍で実施できなかった。そのため、台湾の基準設定主体が発行する月刊誌を中心に、台湾の会計制度や会計基準の動向を把握することにした。 研究の結果、国際財務報告基準を導入し、自国で会計基準を設定する必要がなくなった場合、会計基準設定主体の役割として、会計基準の翻訳作業、会計基準適用支援、国際財務報告基準委員会への意見発信に加え、企業の財務危機への対応等の会計基準適用支援を超えた役割も果たしていることを把握した。研究成果としては、「コロナ禍における台湾会計基準設定主体の取り組み」『環太平洋地域文化研究』第2号(2021年3月)として纏めた。 また、各国において喫緊の課題となっている、2017年に公表されたIFRS17号『保険契約』を巡る台湾の対応について、規制当局の方針や会計基準設定主体の適用支援について纏めた。研究の結果、台湾における保険業界の国内的・国際的プレゼンスの高さを背景に、台湾の状況に配慮した会計基準の適用除外(カーブアウト)が実施される可能性が高いことが分かった。このことは、これまで投資対象として国際的なプレゼンスを高める目的で会計基準の国際化を進めてきたことからシフトしたと捉えることもできる。その内容は2021年7月刊行の『産業経理』に「台湾におけるIFRS17適用に関する予備的考察」として掲載される予定である。 以上のような台湾会計制度の最新動向の把握は、進出企業や進出企業を支援する監査法人・会計事務所にとってのガイドラインとしての意義はあると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、現地での調査という点では遅れており、今後の実現可能性も不明であるが、定期購読している機関誌等を利用した文献研究にじっくり取り組める機会を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
台湾進出企業を対象とした調査を、メールやオンライン会議で実施する。同時に機関誌等を用いて現地の状況を把握する。そして、グローバルな会計基準による財務情報が経営管理に役立つか、またグローバルな意思決定が促進されるかについて考察を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により現地台湾でのインタビュー調査ができなかった。今年度はメールやオンラインミーティングによる調査または現地のジャーナル等による情報収集と分析を行う予定である。
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