研究課題/領域番号 |
18K12896
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
亀岡 恵理子 文教大学, 経営学部, 講師 (30806295)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 財務諸表監査の質 / 監査インプット / 日本の監査労働市場 / 公認会計士 / 個人特性 / 監査チーム |
研究実績の概要 |
本研究は、財務諸表監査の質(監査品質)に影響を与える要因として近年注目を集めている監査インプット、すなわち財務諸表監査に従事する「個人」に焦点をあてる研究である。本研究の目的は第1に、監査人の個人特性にはどのようなものがあるのかを探索すること、第2に、監査プロセスの各局面において、多様な特性をもつ個人がどのように組み合わさって監査チームを構成し、監査に従事するのかを明らかにすることである。 研究初年度となる本年度は第1の研究目的に従事した。具体的には、監査品質において個人が果たす役割を文献レビューに基づき考察した後、日本においてはどのような個人が財務諸表監査に従事しているのかを公表データを用いて分析した。経営学領域におけるダイバーシティ研究の枠組みを参照し、日本の財務諸表監査従事者の個人特性を探索した結果、公認会計士試験合格年度、試験制度(旧試験・新試験)、性別、年齢、学歴、出身大学、キャリアバックグラウンド(前職経験)、地域(財務局)、所属事務所の規模(大手・準大手・その他)、事務所所在地(HQ、オフィス)、勤務形態(常勤・非常勤)、職階、役割(役職)、経験(海外・異動・出向)、スペシャリティ、その他の資格といった属性を識別した。 以上の研究結果について、学会で報告を行い、紀要論文として公表した。本年度の分析は、日本データを用いて個人が監査品質に与える影響を検証する将来研究に向けての予備的調査の意味をもっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1の研究目的を終えた後は第2の研究目的をインタビュー調査およびアンケート調査により実施する計画であったが、質問項目の開発にあたって、監査パートナーが監査契約において果たす役割、監査チームの編成、監査チーム内外での関わりについて、先行研究や監査基準を通じてさらに検討しておく必要性を認識した。このための文献調査に時間を要しているため、インタビュー調査およびアンケート調査の準備が遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
必要と認識している文献レビューを進める一方で、インタビュー調査およびアンケート調査の質問項目の開発を行う。監査法人の繁忙期を避けた6月末から8月頃までの間にインタビュー調査を実施できるよう、研究進捗度を高めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗がやや遅れているため、次年度使用額が生じた。インタビュー調査およびアンケート調査を実施するための支出として使用する予定である。
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