研究実績の概要 |
バーンアウト研究の成果はヒューマン・サービス業を中心に蓄積され、製造業をはじめとする一般産業界の従業員を対象とするものが極めて少ない(王・椿田・ 関口, 2017)。その背景には、バーンアウトという状態がそもそも看護の現場での観察から見出されたという経緯が一因であると考えられる。しかし、バーンア ウトは自己と仕事との関係のなかで生じる問題であり、製造業でも十分発生し得る。 従業員がバーンアウトしたことにより、改善活動への参加意欲が低下し、 日本企業の競争力の源泉とされる現場力が衰えていくのではないかと懸念される。そういう意味で、製造現場のバーンアウト状況を調査することは、従業員が健康で長く働き続けられる職場環境の構築に貢献するだけでなく、 日本経済の持続的成長にとっても重要な課題である。 そこで、本研究は、日本の製造業で実践 されている改善活動(原価改善やTQC、JIT生産方式など)が製造現場における従業員のバーンアウトをもたらしているかを明らかにし、またバーンアウトしている ならその発生要因を解明し、企業業績への影響を考察することを目的としている。 「研究実施計画」では、得た情報や知識をもとに、最終年度に質問票調査を作成し実施する予定であった。しかし,外部環境(新型コロナウイルス発生)の影響により、2022年度での質問票調査の実施を断念し、再度延期することにした。 2023年度では、外部の社会環境(新型コロナウイルス)が改善されたことで、オンラインでの質問票調査を実施しました。現在、その分析を行なっています。
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