研究実績の概要 |
今年度は計画のうち最も中心のテーマであった環境管理手法と環境マネジメントコントロールシステムの補完関係についての研究に進捗があった。データ分析のためのモデルの選択について共同研究者と合意が取れ,論文の投稿準備を進めている段階にある。本研究ではMaterial Flow Cost Accounting (MFCA)などの資源生産性のための環境管理会計がaction controls, resutls controls, cultural controls, personnel controlsなどによって構成されるEnvironmental Managenemnt Control Systems (EMCS)との間にどのような補完関係があるのかということ,およびMFCAの利用が企業の環境パフォーマンスに与える影響について分析を行っている。これにより資源生産性のための環境管理会計にはマテリアルフローベースの利用とエンドオブパイプでの利用の2つの側面があること,またMFCAなどのマテリアルフローベースの環境管理会計の手法が,廃棄物管理にフォーカスしたエンドオブパイプの環境管理会計よりもEMCSとの間の補完関係が低く,より独立して利用されていることが明らかになった。また環境パフォーマンスの影響についてエンドオブパイプでの環境管理会計の利用の方がより効果があることも明らかになっている。 これらに加え,本年度はサステナビリティ報告書における経営者メッセージの分析を行うためのテキストデータのデータベースの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4カ年で,第一に,複数の環境管理手法が組織でどのように共存し, どのように経営活動との間に関係性を構築しているのか,第二に外部と内部での環境アカウンタビリティの連続性,整合性の側面がどのように調整されているのか分析を行う。マテリアルフローコスト会計(MFCA)などこれまで様々な環境管理会計の手法が開発されてきたが,単一の計算技術だけでは環境経営の課題を克服できないため,システム間の補完関係,アカウンタビリティの連続性に着目することが必要となる。経験的な研究と同時に,第三にバランスト・スコアカード(BSC)を環境マネジメントの利用のために拡張するために「環境の視点」 が他の経営管理指標とどのようにむすびつくのか,因果モデルの構築を試みる。 このうち第一の環境管理手法の組織での共存関係については分析が完了し,論文投稿の準備を進める段階にある。また第二の環境アカウンタビリティの連続性,整合性の問題については分析のためのテキストデータをサステナビリティ報告書をもとに収集し,データベースの整備が進んでいる。
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