研究課題/領域番号 |
18K12904
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
若林 利明 上智大学, 経済学部, 助教 (80705666)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 業績評価 / 報酬契約 / 固定給 |
研究実績の概要 |
本年度は、企業の投資決定と資本市場の価値評価の間に双方向の相互作用が存在するとき、組織を効率的にコントロールするためには経営者にどのような報酬契約(業績に対するウェイト付けや報酬ミックスなど)を提示すべきかを検討しようとした。 そこでまずは経営者の報酬契約に関する問題を検討するために行動契約理論に依拠した数理モデルを分析した。特にインセンティブ係数が業界平均から乖離しているような場合にエイジェントが心理的なコストを感じる状況を検討した。ここでは、シングルタスクの状況において、あまり乖離が大きくなるとかえってインセンティブ係数をゼロにする(固定給)のケースが望ましくなることを示した。次にマルチタスクの状況において、業績指標間の相関を考慮することで心理的コストを仮定したことで生じる非効率性を緩和できることを示した。 次に、資本市場の議論を取り込もうとしたところで、前述の結論は興味深いものである一方でモデルの設定から容易に導出できることであったことに気付いた。すなわち、さほど学術的に貢献度の高い成果であるとはいえないかもしれない。 ただし、本年度の研究成果は41st European Accounting Association Annual CongressやAsia-Pacific Management Accounting Association 14th annual conferenceといった国際学会報告でするなど一定の評価は得ている。また、資本市場の議論を取り込むことによって本年度の結論と異なる結果が得られる可能性もあるため、検討を続ける必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の分析で得られた結果は興味深い一方で、モデルの設定から容易に導出できることであったといえる。そのため、本年度の成果のみでは査読誌にアクセプトされないであろうと思われる。 また研究代表者の所属先の変更で研究室の立ち上げに時間がかかったことにより、十分な研究時間を確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き経営者の報酬契約について数理モデルに依拠した研究を行なっていくとともに、財務報告がもたらすリアルエフェクトについても検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属先の変更により、研究室の立ち上げにやや時間がかかったため。来年度国際学会に採択されており、出張旅費に充当する予定である。
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