研究課題/領域番号 |
18K12904
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
若林 利明 上智大学, 経済学部, 准教授 (80705666)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 報酬契約 / 目標設定 / 分権化 / 組織アイデンティティ |
研究実績の概要 |
本年度は、再び業績評価モデルに立ち返り、モデルを階層モデルに発展させた。具体的には、1人のプリンシパルと2人のエージェントがいる場合に、プリンシパルが上位のエージェントに下位のエージェントに関する意思決定権を委譲することが報酬契約にどのような影響を与えるかを分析し、プリンシパルがエ-ジェントに決定権を委譲することが最適になるための条件を明らかにした。例えば、プリンシパルが親会社で上位のエージェントが子会社の経営者、下位のエージェントが子会社の事業部長であるような場合、あるいはプリンシパルが本社で上位のエージェントが支店長、下位のエージェントが支店の事業部長であるような場合が想定される。こうしたモデル自体はよく見られるものであるが、本研究の特長は、報酬契約決定権の委譲だけでなく、行動目標の決定権の委譲についても分析していることにある。分析を行った結果、本研究の主な結果は以下のように要約される。エージェントの組織アイデンティティが高いほど、目標設定や組織アイデンティティがある場合の契約は効率的である。さらに、目標設定があり、上位のエージェントと下位のエージェントの生産性やアイデンティティが同一である場合、報酬契約は分散型、目標設定は集中型が最も効率的である。逆に、報酬契約は集中型、目標設定は分散型が最も非効率的である。 研究成果はいくつかの国際学会で報告を行い、英文ジャーナルに投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で思うように研究成果の報告ができなかった。1本ワーキングペーパーは完成させているので、最低限の成果は出せていると思う。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、これまでの研究成果をベースにしてリアルエフェクトや財務報告を取り入れたモデルを展開していくつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により、予定していた4度の海外出張がすべて中止、延期またはオンライン開催となった。そのため、出張費用が支出できず、大幅に残額が生じた。次年度は、依然として厳しい状況にあるが、可能になれば海外出張に行ければと考えている。困難であれば、さらなる研究に向け、データベースを整備する予定である。
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