研究課題/領域番号 |
18K12904
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
若林 利明 上智大学, 経済学部, 准教授 (80705666)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 業績評価 / ロボティック・プロセス・オートメーション / 分権化 / 固定給契約 |
研究実績の概要 |
本年度は、主に2つの研究を行った。 第1に、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)のようなITを利用した業務プロセス効率化の投資・支出は、どの程度の金額で、本部と事業部のいずれが投資意思決定権を有するべきであり、それに伴い業績評価はどうあるべきかを、事業リスクと組織成員のITリテラシーの観点から契約理論に依拠した数理モデルを用いて明らかにした。すなわち、個人属性、組織マネジメントおよび事業環境の視点からIT投資・支出について理論研究を行っている。分析の結果、RPA等の導入と業績評価システムを統合的に、かつ業務や事業特性に応じて考えるべきであること、本部の方が事業部よりもITリテラシーが低かったとしても,RPA等の導入の決定権を本部が留保した方が良いケースが存在し、この傾向は事業リスクが高いほど高まることなどを示した。 第2に、行動契約理論に基づく数理モデルによって、インセンティブ契約よりも固定給契約の方がプリンシパルにとって好ましい状況を明らかにした。伝統的な理論では、インセンティブ契約の方がプリンシパルの期待効用は高いとされているが、現実には固定給契約で雇用している企業もある。本研究は、マルチタスクの場合、固定給契約を提示すべきケースが存在すること、心理的要素により報酬契約が非効率になること、しかし、適切なパフォーマンス指標を用いることにより非効率性を低減できる可能性があることなどを明らかにした。 研究の成果は3本の査読付き論文(英文業績を含む)、2回の学会報告としてまとめられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響で思うように研究成果の報告ができなかったものの、その分論文の執筆に集中し、成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に行った研究のうち、1つ目の成果は当初よりリアルエフェクトに展開していくことを念頭に置いた分析モデルになっている。そのため、引き続きこれを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で研究計画当初に予定していた国際学会に出席できなかったため。研究成果を書籍にするための出版費用に充てる予定である。
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