研究課題/領域番号 |
18K12905
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研究機関 | SBI大学院大学 |
研究代表者 |
小林 英幸 SBI大学院大学, SBI大学院大学 経営管理研究科, 教授 (20790124)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 原価企画 / エンジニアの受容 / コンフリクトの解消 / トヨタ自動車 / 本田技研工業 / 原価企画体制の洗練度 / 原価企画従事者の意識 |
研究実績の概要 |
原価企画に対するエンジニアの受容とコンフリクトの解消について研究するにあたり、まず半世紀以上にわたって先駆的な原価企画活動を実施してきたトヨタ自動車㈱に焦点を当てた。具体的には原価企画活動の中心的な実践者であるチーフエンジニアと設計者(合わせて500名弱)にアンケートを行い、また原価企画を牽引する5部署計50名にインタビューを行った。続いて、近年急速に原価企画の体制を整えつつある本田技研工業㈱の5部署計50名弱に同様のアンケートを行った。 両社のアンケート結果を比較し、χ2検定によって統計的に有意な差があると認められた項目について考察を行いつつある。例えば、地道な原価低減だけでは到底達成できないほどの厳しい目標原価が与えられたとき、トヨタの設計者の多くは「それでも地道な原価低減活動を続けるしかない」と考えるか、あるいは「発想の転換をして、画期的な原価低減アイデアを見出すよう努力するしかない」と考えるのに対して、ホンダの設計者の約半数が「目標原価の見直しを交渉する」、または「諦める」と答えた。これまでのところ、原価企画体制の洗練度と原価企画従事者の意識の高さにおいて、両社の差が目立つように思われる。 ホンダは四輪事業の営業利益率が低いことについて危機意識を持っている。原価企画体制の再構築を急いでいるのも、その危機意識の表れに違いない。しかし形を整えただけでは十分な成果は期待できないだろう。原価企画従事者が最大限の努力をして最大限の力を発揮するためには、彼らが強く動機づけられ、全社が一丸となることが必須ではないか。本研究はその方向性を示唆するものになりつつあると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トヨタとホンダのアンケート結果の差を統計的に処理する方法を迷っているうちに、予想外に時間が経過してしまいました。そのため、アンケートのあとで行うつもりでいたインタビューが、まだ実施できないでおります。
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今後の研究の推進方策 |
2019年5月にはホンダの原価企画従事者4部署7名へのインタビューを予定しています。その後、同様の部署・人数についてトヨタへのインタビューも行うつもりです。それらをもって両社の差の意味と、今後の方向性への提言をまとめます。 続いて、原価企画ではトヨタを凌ぐともいわれる成果を上げてきたマツダへのアンケート、インタビューを実施したいと考えています。 あるいは自動車産業を離れ、やはり原価企画で大きな成果を上げているIKEAへのアプローチを先行させるかもしれません。これは共同研究者である海外の2教授との相談によって決定します。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は2千円余であり、直接経費の合計額は誤差範囲と考えます。ただし内訳については予定と実績との間でずれが生じました。人件費・謝金が発生しなかった一方、予定に計上しなかった「その他」の費用が発生しました。「その他」は学会年会費と参加費です。 次年度にはインタビューへの謝金や、結果の文字起こしに関する人件費が発生するものと思われます。
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