研究課題/領域番号 |
18K12906
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研究機関 | 静岡産業大学 |
研究代表者 |
太田 裕貴 静岡産業大学, 情報学部, 講師 (70779834)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 投資の効率性 / 買収防衛策 / メタアナリシス |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き「投資の効率性」に関する研究を行った。具体的には次の3つである。 第一に、経営者のquiet lifeの選好に関する過去の実証研究をレビューした。Biddle et al.(2009)の研究等で過小投資は非効率な投資に該当することが指摘されているが、その要因として近年注目されているのが経営者によるquiet lifeの選好である。経営者は自身の地位を安泰なものにするために、従業員や取引先との関係を良好にしてリスク回避的になることから、たとえ有望な投資計画を有していてもそれを実行しない可能性がある。経営者のquiet lifeの選好による過小投資問題を緩和するためには経営者に対する規律付けが重要になる。先行研究のレビューを通じて、複数の要因が経営者の規律付けを弱めることが明らかとなった。 第二に、買収防衛策導入企業における投資の効率性を実証分析を通じて明らかにした。上記のレビューから複数の研究において経営者の規律付けを弱める要因に買収防衛策の導入が挙げられている。そして、買収防衛策導入企業では経営者の規律付けが弱まることを通じて導入後に過小投資問題が生じることを報告している。日本企業を対象に類似の分析をしたところ、海外の先行研究とは異なる結果が得られた。具体的には、日本では買収防衛策導入企業が導入後に投資水準を低減させているわけではなくむしろ上昇させていること、投資水準の上昇は非効率な投資ではなく効率的な投資(経営者による長期的投資や企業特殊的な人的投資の促進)から説明できることを明らかにした。 第三に、投資の効率性に関するこれまでの実証研究から得られた証拠をメタアナリシスの手法を用いて統合的に解釈することを試みた。個々の研究だけに注目すると、証拠が混在しているケースが多く見られたためである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き投資の効率性に関して多角的な視点から検討できていることが主な理由である。個々の研究がそれぞれ関連しており、昨年度よりも投資の効率性について明らかにできた部分が多いように感じられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度もこれまでと同様に投資の効率性に関する実証分析を行っていく予定である。現在、研究を進めているのはこれまでの自身の研究で明らかにしてこなかった株式所有構造から投資の効率性を検討することである。複数の先行研究において、株式所有構造もまた投資の効率性に影響を及ぼすことが指摘されている。日本企業を対象にした場合にどのようなエビデンスが得られるかを明らかにしたい。また、最終年度ということでこれまでの研究を包括していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外ジャーナルへの投稿のために必要な英文校正を次年度に回すことになったため
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