研究実績の概要 |
本年度は、資源循環を捉えたマテリアルフローコスト会計の導入促進策に関する調査、マテリアルフローコスト会計の中小企業への導入促進策に関する調査を行った。 マテリアルフローコスト会計は、動脈産業のサプライチェーンにおけるマテリアルのフローのみならず、静脈産業におけるマテリアルのフローも捉えることができる潜在力を有している。動脈産業のサプライチェーンにおけるマテリアルのフローを捉えた研究、静脈産業におけるマテリアルのフローを捉えた研究は、これまでも多くの蓄積があるが、資源循環のマテリアルのフローを捉える研究の蓄積はほとんどない。そこで、本年度は、徳之島におけるサトウキビを事例に、サトウキビの循環を捉えるマテリアルフローコスト会計の導入可能性とその促進策に関する調査を行った。 マテリアルフローコスト会計の普及にあたっては、大企業による導入のみならず、中小企業による導入も重要となる。一方、中小企業においては、一般的に、大企業に比べて経営資源が限られているため、管理手法の導入が難しいという問題もある。本年度は、このうち測定の問題に取り組み、マテリアルのフローを実際に測定する人に焦点を当てた研究を行った。具体的には、マテリアルフローコスト会計の導入経験を持つ学食で、アルバイトとして働く学生を対象にしたインタビューを行い、継続的な測定を実現する上での具体的な問題等について調査を行った。 上記の調査は、今年度より追加的に行ったもので、まだ研究成果としてまとめられていない。一方、2021年度以前に行った研究を基礎にした成果が、2本査読論文として公表された(天王寺谷・篠原(2023)、Kitada, Tennojiya, Kim, and Higashida (2022))
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