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2019 年度 実施状況報告書

自社株買いの情報開示制度と機会主義的行動

研究課題

研究課題/領域番号 18K12912
研究機関横浜市立大学

研究代表者

河瀬 宏則  横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (30755781)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード自社株買い / タイミング / ディスクロージャー
研究実績の概要

当初の研究計画にあったプロジェクトのうち、これまで2本のワーキングペーパーを完成させ、うち1本は査読審査中であり、もう1本は投稿に向けて学会・研究会報告を行っている段階である。
本研究の目的は、自社株買いのタイミングを調査することである。これまでの研究により、(1)ToSTNeT-3等の自己株立会外買付取引においては、金曜日の公表を避ける傾向があり、特定の株主との取引を意図して実施されている可能性が示唆される。これは自己株立会外取引が特定の売主を想定して公表・実施されていることを思わせ、そして現在の情報開示内容を改め、売主に関する情報をより開示する必要があることを思わせる。(2)経営者による年次の純利益予想を自己資本で除して計算した予想ROEは高いほど翌四半期の買付量は増加する一方、予想ROEが5%周辺である場合、予想ROEが低いほど翌四半期の自社株買い買付量が増加するという不連続な関係が観察された。これは一部の企業において、取締役の再任などに関わるROE水準を達成するために自社株買いを利用することが示唆される、などが明らかとなった。ロバストネスチェックを進め、論文の雑誌掲載に向かって研究を進めていきたい。
自社株買いは経営者の裁量に基づいて極めて柔軟に活用される一方で、その具体的な動機は不明瞭な点が多い。経営者と投資家の情報の非対称性を緩和し、証券市場の効率性改善のために、今後も動機およびタイミングの研究を進めていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ワーキングペーパーを公表し、研究会・学会で完成度を高めようと考えていたが、昨今の新型コロナウイルスの影響で延期・中止が相次いでいる。そのため、研究発表の機会が失われており、予定よりも進捗が遅れている。ただし、研究自体は進んでおり、特に問題にはならないと考えている。

今後の研究の推進方策

オンラインで研究発表する場を探し、論文の完成度を高めていきたいと考えている。研究計画の大幅な変更は想定しておらず、特に問題ないと考えている。

次年度使用額が生じた理由

年度末後半に予定していた出張がすべてキャンセルとなったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 実質的な相対取引をシグナルする負の公開買付プレミアム2020

    • 著者名/発表者名
      河瀬宏則
    • 雑誌名

      横浜市立大学論叢.社会科学系列

      巻: 71(2) ページ: 103-120

  • [雑誌論文] Does reputation matter? Evidence from share repurchases2019

    • 著者名/発表者名
      Ota Koji、Kawase Hironori、Lau David
    • 雑誌名

      Journal of Corporate Finance

      巻: 58 ページ: 287~306

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.jcorpfin.2019.05.006

    • 査読あり
  • [学会発表] 実質的な相対取引をシグナルする負の公開買付プレミアム2019

    • 著者名/発表者名
      河瀬宏則
    • 学会等名
      日本経営財務研究学会

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公開日: 2021-01-27  

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