研究課題/領域番号 |
18K12912
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
河瀬 宏則 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (30755781)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自社株買い / ディスクロージャー / ROE / 公表後リターン / 流動性 |
研究実績の概要 |
本年は2本の論文を執筆している。なお、両論文は近畿大学の井上謙仁先生との共同研究である(ともに河瀬が責任著者)。1つはROE改善を目的として自社株買いを実施するのかどうか、検証してきた。昨今、大株主には権利を行使して適切なコーポレート・ガバナンスを達成するよう求められるようになっているが、そのなかでROE5%を達成できない企業には株主総会において取締役の再任に反対するといった大株主の動向が知られている。つまり、経営者にはROEを引き上げるインセンティブが生じているものと思われるが、そのために自社株買いを用いるのか、というのがこの研究のリサーチクエスチョンである。分析結果は企業がROE5%を達成しようと自社株買いを実施すると思わせるものである。この研究についてはワーキングペーパーを執筆し、TJAR Workshop(神戸大学、2020年7月21日)において発表を行った。しかしながら、現時点で分析上の問題点をいくつか発見しており、リサーチデザインの見直しを含め検討を続けている。 もう1つは、先行研究で自社株買い公表後に観察されるリターンが実際に稼得可能なのかを株式の流動性を用いて検証している。そして、この流動性が不足するような企業が公表した自社株買いについては、その他の要因をコントロールしてもなお、より大きな公表後リターンが観察されることがわかった。流動性の不足は高い取引費用を意味するものと考えられ、自社株買い公表後のリターンは実際には稼得できない可能性を示唆した。こうした事実は自社株買いがもたらす経済的帰結への理解を深め、また実際の投資戦略においても一定のガイダンスを提供するものである。なお、同研究は2021年の証券アナリストジャーナル6月号において、依頼原稿として掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の河瀬は所属先の大学において学部の教務委員および2020年度の大学行政に多大な影響を与えた新型コロナウイルスへの対応を迫られ、オンライン授業のルールやマニュアルの設計、現場教員への指導・トラブル対応といった業務を担当することとなった。また2020年度後期は学部の都合により追加で新規科目を担当した。こうした事情により、研究を予定通り進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度においても学部の教務委員を担当している。そのため、学内行政のために多大な負担を要するものと思われるが、各種業務の時間配分の見直しを行い、研究時間捻出に取り組む。 また昨年度より導入したが、リサーチ・アシスタントとして大学院生・学部生をアルバイト雇用し、一部作業の外注を行い、より効率的に研究を進めていく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス対応のため、研究計画に遅れが生じているため。使用計画としては、主に研究に用いるデータベースの購入費用およびアルバイト雇用費用を中心に予算執行する予定である。
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