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2021 年度 実施状況報告書

自社株買いの情報開示制度と機会主義的行動

研究課題

研究課題/領域番号 18K12912
研究機関横浜市立大学

研究代表者

河瀬 宏則  横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (30755781)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード自社株買い / 株式リターン / 株式流動性
研究実績の概要

本年度は近畿大学の井上謙仁先生と共著で証券アナリストジャーナルに論文を寄稿した。タイトルは「自社株買い公表後のリターンと流動性」である。同論文は、自社株買い公表後であっても株式リターンが観察されるかどうかに関心を持っており、株式流動性の観点から検証したものである。
先行研究の多くは、自社株買い公表後に長期の株式リターンの存在を確認してきた。長期リターンが観察されるということは、Famaの効率的市場仮説に基づけば、自社株買いの情報が公表後ただちに株価に織り込まれないことを意味する。その一方で近年になって長期の株式リターンが存在しないとの実証結果も示されるようになった。現時点では、長期の株式リターンの源泉がなにか、未だに決着がついていない。
こうした背景のもとで、本研究は公表後30日の期間に注目した。先行研究から自社株買いの公表は大きな市場反応をもたらすが、くわえて公表後1-30日間で株価のドリフトも確認されている。本研究はこの株価のドリフトが、株式流動性に起因するのかを検証している。
実証結果は、株式流動性の高低が公表後30日にわたるリターンの変動を説明していると解釈される。つまり、自社株買い後の長期の株式リターンの要因の1つに株式流動性の影響が窺える。この結果は株式投資にも一定の示唆がある。株式流動性が株価のドリフトを説明するのなら、株式の取引コストが高いことを思わせる。つまり、自社株買い後にその公表銘柄の株式を買っても、リターンを得ることが難しいと考えられる。
引き続き、自社株買い公表前後のメカニズムの解明に向けて、研究を継続していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナ感染症の影響により、学内業務や育児に割くべき時間が増えていたため、研究に割り当てられる時間が減少していた。そこで研究期間の延長を申請し、2022年度も継続して当研究課題に取り組みたい。

今後の研究の推進方策

2022年4月から所属研究機関を異動することになり、担当する学内業務が変わった。また転居により、育児について家族・親戚のサポートを受けられるようになった。そのため、2021年度に比べると、2022年度は研究に使える時間が増えると見込まれる。こうした時間を使って、遅れた分を取り戻したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の影響により、研究計画の進捗が遅れてしまったため、延長を申請した。これに伴い、次年度で研究費を使用することとしたい。使用計画については、所属機関の変更に伴い、研究環境が変化するため、データベースの利用料等を中心に研究費を執行したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 自社株買い公表後のリターンと流動性2021

    • 著者名/発表者名
      河瀬宏則, 井上謙仁
    • 雑誌名

      証券アナリストジャーナル

      巻: 59(6) ページ: 45-57

  • [図書] 「第3章 南アジア電力企業の成長性に関する分析―日本の電力企業との財務諸表分析―」澤田英司・B.R.カンデル編『南アジアの社会経済基盤と開発援助』2021

    • 著者名/発表者名
      河瀬宏則
    • 総ページ数
      151
    • 出版者
      九州大学出版会
    • ISBN
      9784798503097

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公開日: 2022-12-28  

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