株式会社は株主によって出資された資本をもとにビジネスを行い、その成果は株主に分配される。分配の具体的な方法にはいくつかあるが、伝統的に配当が用いられてきた。その一方で、日本企業ではここ10年で株主還元が強調されるようになり、そのなかで自社株買いもまた重要視されるようになった。しかし、自社株買いの特性は買付手法ごとに異なる一方で、その特性や実態を反映した情報開示制度が整備されていないかもしれない。企業外部の投資家に対して適切かつ十分な情報開示は、企業と投資家間の情報の非対称性の解消を通じて、公平な利益分配を促すためにも重要なものである。ここに本研究の学術的意義および社会的意義があるといえる。
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