研究課題/領域番号 |
18K12913
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
篠原 巨司馬 福岡大学, 商学部, 准教授 (90580168)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 戦略化 / 組織学習 / 管理会計教育 / 中期経営計画 / 戦略計画 / BSC |
研究実績の概要 |
本年度は主に戦略と管理会計を接合するための先行研究のレビューと調査対象企業への聞き取りを行った。 先行研究のレビューに関しては国際ジャーナルからフレームワークのもととなる先行文献を整理し、レビュー論文を作成している。戦略を作り込んでいくプロセスに注目しており、システムに関する研究をまとめるとともに、その中で従業員の学習プロセスに中長期の視点を導入する方法に関する議論で、既知の議論について整理した。主に取り上げた研究は管理会計と組織学習との関係に関する研究、諸個人(経営層、現場従業員層)の戦略策定に与える影響の研究である・管理会計研究において学習プロセスと戦略化との関係に関する研究はまだ萌芽的なものにとどまっているため、今後の研究機会として捉えることができる。これに関しては本年夏以降に公表する予定である。 また、新規に聞取調査を一部上場企業(製造メーカー)に対して複数回行い、インタビューのテープ起こしデータの整理をした。これに関しては論文化の目処はまだ立っておらず今後の課題としている。 一方で、既存調査先の企業(中小ITサービス企業)に関して国際学会に投稿するための論文を作成した。調査先企業の戦略策定に関する長期的なデータと、社内の教育システムを総合的に分析するものであり、その中で会計数値の果たす役割と会計教育と行動指針による教育がどのように戦略策定に関係しているのかを定性的なデータをもとに考察を加えたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたとおり、海外滞在中(オーストリア・インスブルック)に現地研究者との日常的なコミュニケーションや研究会の実施により情報交換を行うことができた。また、並行してすすめていた文献調査については、概ね必要な文献を集めることができた。今後はより詳細に検討し、分析のための理論フレームワークを精緻化していく作業をしていくことにしている。また聞取調査に関しても帰国後予定していた回数を新規の調査先に関して実施することができた。一方で、既存の調査先の追加調査は滞っているため、、翌年度以降の課題としている。ここまでの調査結果については本年度中に論文にまとめて公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度以降のスケジュールとして、平成31年度以降では,経営計画の変遷を観察するために既存調査先企業に対する調査を継続する。またすでにアクセスがある企業への調査を実行に移す。特に既存調査先のみでは検討が難しい現場レベルでの戦略と会計と教育プロセスとの相互作用に関する調査を実施する必要があるため、早々に調査設計をして現場に入ることを目指す。また、既存の調査先のデータを用いて論文を公表することも目標としている。続く32年度はインタビュー 調査を継続するとともに,データ分析に主軸を切り替えていく。最終年度には補完的な調査 を行うとともに研究書の出版を目指す。またプロセス管理の一環として毎年研究の中間報告を国内外の研究会や学会で行っていく予定である。よって31年度以降は主に調査旅費とデータ整理用の人件費、文字起こし依託費を執行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたテープ起こしやデータ管理のための経費が予想よりも少なくなったため、4万円弱の余剰がでた。これに関しては本年度の聞取調査にかかる費用として利用する予定である。
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