研究課題/領域番号 |
18K12919
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
新藤 雄介 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (30773064)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 農民 / 運動 / 理論 / 反理論 / 渋谷定輔 / 雑誌 / 読者 / メディア |
研究実績の概要 |
2019年度は、計画書の(Ⅱ)農民たちによる運動と反理論と(Ⅲ)日常生活からの反理論について、資料の収集と分析を進めた。(Ⅱ)については、『農民自治』の分析が前年度に一定程度は完了していたことから、後継誌的に出版された『農民闘争』において、農民たちによる運動が急進化していく状況を調査した。(Ⅲ)については、渋谷定輔と渋谷黎子との往復書簡を中心に、農民である渋谷定輔が『農民自治』の運動に挫折後、新たな運動として『農民闘争』を始める前までの変化の過程について分析を行った。加えて、2020年度の研究を見据えて、『何を読むべきか』関連の雑誌の復刻を出版社と調整している。また、『文芸戦線』『戦旗』『労農』『マルクス主義』の分析にも一部着手し、その内容を組み込んだ博士論文を執筆し、2019年10月に博士号を取得した。 これらの研究成果として、下記のものがある。 2019年10月の日本マス・コミュニケーション学会秋季研究発表会(江戸川大学)において、「昭和初年代の社会運動と手紙というコミュニケーション――運動と雑誌の挫折の後に」として報告を行った。 査読論文として、新藤雄介「雑誌『農民自治』と渋谷定輔の社会運動――農民における理論と反理論の相克」『出版研究』(49号、45-66頁(成果自体は2018年度報告書参照))が刊行された。また、博士論文として、新藤雄介「読書装置と知のメディア史――近代日本における書物をめぐる実践」(東京大学大学院学際情報学府、社会情報学博士)を提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
資料調査は順調に済んでおり、分析にも取り組めている。また、2020年度に本格的に取り組む『文芸戦線』『戦旗』『労農』『マルクス主義』の分析にも着手することができている。 その成果として、研究報告を1つ行い、査読論文が1つ刊行され、博士論文を執筆し、博士号を取得した。 これらのことを踏まえ、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、1つは、社会運動に関係していた雑誌『文芸戦線』・『戦旗』・『労農』・『マルクス主義』における、読者と編集部の理論をめぐるやり取りを詳細に取り扱う。もう1つは、『何を読むべきか』関係の雑誌を分析し、読者と編集部の理論をめぐるやり取りの様々な位相を調査することである。 ただし、新型コロナウイルスの社会的影響により、調査が思うように進まない可能性もある。その場合は、適宜柔軟に計画を練り直すこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
財務課が精算した2020年1月の旅費支払額が、研究遂行者の計算よりも安くなったために、少額の残金が生じた。残金については、2020年度に使用する。
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