研究課題/領域番号 |
18K12921
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
河 キョンジン 國學院大學, 観光まちづくり学部, 准教授 (10754442)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PR / パブリック・リレーションズ / 企業社会 / 産業 / PR映画 / 戦後日本 |
研究実績の概要 |
本研究の第5年度にあたる2022年度は、所属機関(勤務校)の異動に伴い、研究環境の大幅な変化を受け、研究計画を再調整する必要があった。 まず、本研究の主要な結果をまとめた単著の執筆について、昨年度の刊行を目指してきたが、研究機関の異動などで当初の計画より遅れている。本書では、1950年代における造船、電力、繊維など、主要産業・企業のPR映画を取り上げ、当時の時代・社会背景をふまえながら、経営者や従業員にとって「我が社」とは何であったか、どのようなイメージを通じて表象されたかを分析する。ほとんど完成し、あとは序章と終章の執筆、全体の推敲作業のみが残っている。 次に、PR言説に関する論文を執筆し、近日公開予定となっている。戦後から1950年代にかけてPRに関する様々な書籍、論文が出版されたが、これらの言説は行政学、経営学/マネジメント論、新聞学/ジャーナリズムなどの分野から影響を受けていた。こうした歴史を戦後日本におけるアメリカナイゼーションの観点から俯瞰した同論文は『吉見俊哉論――社会学とメディア論の可能性』(人文書院)に掲載され、2023年5月30日に公開予定である。 上記の研究業績をベースに、PR業界や実務家を対象とする講演を行った。1950年代のPRブームを牽引した担い手を多方面から検討し、政治、経済の分野からPRをめぐってどのような議論が展開されたかをSCALE PR ACADEMY第3期閉講式および、公益財団法人日本パブリックリレーションズ協会PR業経営者懇談会でそれぞれ講じた。2000年代以降、日本社会におけるPRの変容は、戦後の歴史から日本型PRの特徴を探る本研究の問題意識とも深く関連している。実務家を対象にPRの過去と現在をつなぐ議論ができたのも、2022年度の研究実績の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響は緩和されたが、所属研究機関の異動により研究環境が落ち着くまで時間を要した。また、前任校に比べて授業および校務全般の負担が増え、研究に割く時間が減ってしまったのも原因である。さらに健康上の問題なども重なり、当初の計画からすれば進捗がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
以上の理由から研究の進捗状況がやや遅れているが、1年間の研究期間の延長が認められたため、体制を整えて研究成果をまとめる作業に専念したいと思っている。コロナ禍で移動が制限され、難航していた新規資料の収集を行い、現在、執筆中のPR映画に関する原稿を完成させ、書籍化する。また、公開予定の論文で議論した内容を発展させ、戦後PRの言説に関する論考を『広報研究』(日本広報学会学会誌)に投稿することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年以降から続くコロナ禍の影響に加え、所属研究機関の異動、研究環境の変化、研究以外の業務負担の増加、健康上の理由などが原因で研究計画を大幅変更せざるを得なくなったため。
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