都市社会学と労働社会学の分野間分業について検討するにあたり、画期として注目すべきは1950年代の諸研究である。それ以前は必ずしも明確でなかった分業体制が、1950年代以降は各連字符社会学の確立とともに明確化してくる。そうした分業体制の成立過程を跡付けるにあたり重要な作品として、本研究では中野卓『商家同族団の研究』と、尾高邦雄『職業社会学』を取り上げた。学問において下位分野が発達することは健全な発展のプロセスであるとも言えるが、同時に、そうした棲み分けにおいて取りこぼされるテーマがあらわれるという問題がある。本研究はそうした問題を歴史的に研究したものであった。
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