研究課題/領域番号 |
18K12924
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐野 潤子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 特任講師 (00802141)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 複数役割満足感 / 共働き / 仕事満足感 / 家庭科教育 / 男女共同参画社会 / 家計管理 / 性別役割分業意識 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
2020年度はお茶の水女子大学ジェンダー研究所とノルウェーのNTNU(国立科学技術大学)のジェンダー研究センターの共同研究 (INTPART)ミーティング(2020年度は5月、6月、7月、9月、10月全5回開催)に出席し、メンバー共同執筆の本出版に向けてそれぞれのテーマにおける日本とノルウエーの国際比較について検討した。Dr.Jennifer Branlet と「家庭科教育におけるジェンダー」の章を担当し、ノルウェーと日本の家庭科教育の歴史、現在ジェンダーについてどのように関わっているかなどについて、共著で執筆中である。両国の先行研究を行い、お茶の水女子大学倫理審査を受け、家庭科教育に関わる現場教員、教員養成の大学教員についてノルウェーと日本でインタビュー調査を行った。その後、主にZoom 、メールでDr.Blanret と何度もやり取りを重ね、話し合いをし、 共同執筆の原稿を書き、現在Editorの査読中である。当初は、日本とノルウエーの働く母親のインタビューを現地で行う予定であったが、コロナ禍のため、渡航することができなかった。しかし、Zoom やノルウェーの研究者の協力で、インタビュー調査を実施することができ、多くの知見を得た。今後の研究に活かすことを考えている。また、最終年度にノルウェーと日本の女性のWeb調査を行うため、まずは日本国内の30歳から55歳の女性の複数役割満足感、家事・育児、家計の管理、意思決定などについてのWeb調査を実施するため、先行研究を行い、質問項目を作成し、本務校の慶應義塾大学経済研究所の倫理審査許可を得て、Web調査を実施する予定である。これまでの研究成果は生活経済学会関東部会(2020年12月)、お茶の水女子大学ジェンダー研究所主催IGS研究協力員研究報告会(2021年3月)で発表し、学会に投稿論文を提出し、査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献・資料収集と当初、2019年度中に調査票を作成し、Web調査などを調査会社に打診していたが、2020年4月に本務校が変わることになり、調査内容、調査票の倫理審査は2020年度以降の勤務先の慶應義塾大学の倫理審査を受けた方が良いとのアドバイスがあり、申請が遅れた。また、ノルウェーと日本の研究者との本の出版が決まり、Web調査の前に、「日本とノルウェーにおける家庭科教育とジェンダー」の共同執筆のために、インタビュー調査を先に行うことになり、最終年度にWeb調査を実行することになった。当初、日本の調査を先行し、次年度でノルウェーの調査を予定していたが、今回のコロナ禍で社会状況が大きく変わったため、結果として同年で同時期に両国の調査をする意義が高まったと考える。また、コロナ禍のため、両国を行き来して現地でインタビュー調査や、国立ノルウェー科学技術大学のジェンダー研究所の先生方から直接コメントをいただく予定であったが、渡航することができなかった。しかし代わりにノルウェーの研究者の先生方と、メールのやり取りに加え、定期的にオンラインで話し合うことができ、限られた条件のなかでも知見をを得ることができ、2021年度のWeb調査の質問に活かしていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ノルウェーの研究者であるDr.Jennifer Branletと共著の執筆に関するディスカッションから、ノルウェーの現在の女性のジェンダー意識や家庭科教育(ノルウエーでは「食と健康」)の役割、家事労働の位置づけなどを知ることができた。この知見を活かして両国の有職母親のWeb調査項目に加え、本務校の倫理審査を申請し、ノルウェーと日本の有職母親の複数役割満足感、家事・育児、家計の管理、意思決定などについてWeb調査を実施する予定である。分析の際、NTNUの先生方にコメントをいただき、結果をまとめる予定である。9月日本家族社会学会、10月家族関係学部会セミナー、12月生活経済学会関東部会、来年度の全米家族社会学会での成果報告を予定している。学会員からいただいたコメントを反映し、『家族社会学研究』、『生活経済学誌』などの論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は本務校への異動初年度であったこと、コロナ禍でノルウェーでの現地での調査が中止になったことから、2021年度にノルウェーと日本の複数役割満足感やジェンダー意識についてのWeb調査を行う予定である。世界情勢や経済状況を考えると、国際比較調査は同年同時期に行った方が良いという研究会でのアドバイスもあり、当初は1年毎に日本とノルウェーの調査を分けて行う予定であったが、今年度、同年同時期に行う予定となった。そのため、調査費用が大きくなることを考え、科研費をできるだけ調査費に充てることを予定している。それ以外に分析結果を発信するための学会発表費用、投稿論文費用などを予定している。
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