研究課題/領域番号 |
18K12924
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐野 潤子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 特任講師 (00802141)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジェンダー意識 / 複数役割満足感 / 保有金融資産額 / 資産運用 / 家計の意思決定 / 金融リテラシー |
研究実績の概要 |
2021年度は、先行研究レビューおよび学会発表、専門家からの情報収集、投稿論文執筆などを行った。具体的には、①日本証券業協会『証券投資に関するデータ』2018年から、30歳以上65歳未満の既婚男女の金融資産運用(有価証券保有)の要因をジェンダーの視点から分析し、2022年3月『生活経済学研究』に掲載された。 ②日本の女性がどのように本人名義の金融資産を形成するか、あわせて就業形態別のジェンダー意識、行動をみるために、日本の既婚女性1000名(正社員334人、パートタイム333人、専業主婦333人)のWeb調査を行った。2021年9月開催日本家族社会学会31回大会で、「女性の家計管理・資産運用とジェンダー意識」を発表した。妻名義有価証券額を上げる要因は妻名義保有金融資産額と、夫名義有価証券額、金融リテラシー、株への関心であった(先行研究支持)。特に正社員では、妻の人的資本(妻年収、妻名義保有金融資産額、金融リテラシー)が妻の金融行動を活発にさせている。逆に妻名義有価証券額を下げる要因は、夫名義保有金融資産額、資産運用を考える時間がない、であった。 ③2021年10月開催第41回家族関係学セミナーでは「既婚女性の金融行動と意識」を発表した。いずれの就業形態でも、妻の妻名義有価証券額を上げる要因は妻名義保有金融資産額と、夫名義有価証券額であった(先行研究支持)。夫のピア効果の可能性といかに女性が自分名義の金融資産を持つかが重要である。また、依然として家事・育児分担割合はいずれの就業形態であろうとも女性が高く、このことが資産運用を考える時間がない、という時間制約をもたらしていると考える。この内容は投稿論文として現在審査中である。 ④日本とノルウェーの30歳以上55歳未満の既婚者(ノルウェーの場合は事実婚を含む)に対してWeb調査を実行した。現在データ分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属機関の変更後の倫理審査の申請、コロナ禍もあり、ノルウェーの研究者との行き来ができず、Web調査の予定変更があった。2021年度にコロナ禍後、日本とノルウェーで、オンラインでの研究交流が可能となり、調査項目をまとめ、同時点でWeb調査ができた。
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今後の研究の推進方策 |
既婚女性の資産形成の要因をジェンダー意識、複数役割満足感、家計の意思決定から分析し、考察を深める。分析結果は学会報告し、論文投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在分析中の研究を2022年度論文投稿、学会発表を予定しているため、延長使用を申し出、許可された。
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