• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

多文化共生社会日本の医療を考える:中国帰国者の医療受診に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K12929
研究機関大阪大学

研究代表者

小笠原 理恵  大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70814375)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードマイノリティ・ヘルス / 中国帰国者 / 医療社会学 / 多文化共生
研究実績の概要

第45回日本国際保健医療学会学術集会のシンポジウム「外国人の住民です!外国人からみた日本の地域医療の課題」において、シンポジストとして登壇し、「中国帰国者の受療の語りから日本の医療を考える」と題して発表した。参加者は100名を超え、活発なディスカッションが行われた。
本研究の主要テーマである「中国帰国者の受療の語り」を、看護学生を対象とした出張授業(4つの大学)の中で取り上げた。中国帰国者はもとより中国残留孤児・婦人という存在自体を知らない大学生も多く、医療従事者も歴史を通してより良い医療のあり方を学ぶことの重要性を示すことができた。
本研究の調査協力者が主催する「外国人高齢者と介護の橋渡しプロジェクト」のプロジェクト委員として活動に携わった。新型コロナウィルス感染症の影響で活動は制限されているが、このプロジェクトは本研究に密接に関連し、学術と実社会・現場をつなぐ重要な連携である。
マイノリティ住民に対する日本の医療政策に関する文献調査は、順調に進行している。新型コロナウィルス感染症のパンデミックによって、これまでには表面化されなかった新たな課題が浮かび上がり、それに伴って新たな知見も散見されるようになっている。当初の研究計画にはなかったが、今後はそうした新たな知見にも言及していく予定である。
なお、第16回EAJS(European Association for Japanese Studies)をはじめ複数の国際会議での発表を計画していたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、学会自体が中止になったり、オンライン開催で公募が限定されるなどしたため、本年度の発表は見送った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

マイノリティ住民に対する日本の医療政策に関する文献調査に関しては、おおむね順調に進展している。しかしながら新型コロナウィルス感染症の影響で、国内および国外におけるフィールド調査を保留せざるを得ない状況が続いており、本研究の核である語りの収集と米国のマイノリティヘルス政策の現地調査が計画通りに進んでいない。1年間の補助事業期間延長を申請し、承認された。
ただ、令和3年度においても、まだしばらくはフィールド調査にかなりの制約が課されることが予想される。当初の計画通りに調査・研究を進めることに引き続き困難が生じる場合には、調査方法の見直しが必要である。変更後の調査方法は「今後の研究の推進方策」に記載しており、すでにその方向で調整を進めている。

今後の研究の推進方策

補助事業期間の延長は承認されたが、令和3年度もフィールド調査にはかなりの制約が課されることが予想される。
【マイノリティ住民に対する日本の医療政策に関する文献調査】これまでの文献調査に加え、新型コロナウィルス感染症のパンデミックによって表面化してきた新たな知見を加えて、最終報告書を仕上げていく。
【中国帰国者への聞き取り調査による実証的研究】帰国者1世は後期高齢者であり、オンラインによる語りの収集には様々な困難が伴う。新型コロナウィルス感染症の状況が夏までに収束しないようであれば、当事者からの語りの収集は断念せざるを得ない。その場合、当初の研究計画通りではないが、インタビュー可能な支援者や2世、3世への聞き取り調査を実施するとともに、既存の語りの再考を行う。帰国者1世を対象とした新たな語りの収集は、新型コロナウィルス感染症が収束するまで保留し、その時期を待って再開したい。
【現地調査による米国式マイノリティヘルスの日本への応用可能性の検討】新型コロナウィルス感染症の影響により、2021年度もアメリカ渡航できる可能性は極めて低い。アメリカでのフィールド調査が不可能であった場合、当初の計画通りではないが、初年度に行ったニュージーランドにおけるフィールド調査、米国現地の協力者へのオンラインインタビューおよび海外の文献調査によって、米国をはじめとした世界各国のマイノリティ住民に対する医療政策を系統的に整理、分析することから、日本への応用可能性を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年2月以降、国内および国外のフィールド調査を保留せざるを得ない状況が続いているため、旅費および謝金が未使用のままになっている。ただ、本年度もフィールド調査ができる確証はない。フィールド調査ができなかった場合には、調査方法をオンラインによるインタビュー調査、文献調査、既存のデータの再構築などに変更する必要がある。その場合、旅費等の未使用金は返金する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] ポスト・コロナの保健医療のあり方2020

    • 著者名/発表者名
      小笠原理恵
    • 学会等名
      グローバルヘルス合同大会
    • 招待講演
  • [備考] Ensuring No One gets Left Behind

    • URL

      https://www.osaka-u.ac.jp/en/news/global_outlook/Perspectives/perspectives202012

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi