研究課題/領域番号 |
18K12936
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐々木 洋子 大阪市立大学, 大学教育研究センター, 特任助教 (70647833)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発達障害 / ADHD |
研究実績の概要 |
本年度は、主として本研究の基盤である近年の発達障害の臨床研究(とりわけ医学分野)および発達障害をめぐる社会状況についての理解を深めるための情報収集を進めた。具体的には以下の通りである。(1)現状における発達障害に関する最新の知見を得るために、関連学会・シンポジウム等への参加等による情報収集を行った。発達障害という行政用語には、複数のカテゴリーが含まれているが、これらを一律に論じることは難しいため、本年度はADHDを中心に情報収集を行い、ADHDとの関連性を軸として他カテゴリーを扱うこととした。(2)日本社会におけるADHDおよび発達障害に関する出版物の出版動向から、誰がどのようなテーマにおいて情報発信を行っているかについて確認し、これらの見取り図を作成した。また、これに基づき主要な文献資料の収集を行った。発達障害は、日本でその名が知られるようになった時点では、病因や診断基準が確立しておらず論争的なカテゴリーであったが、約20年経過し診断・治療方針に関する一定の見解が提示されていると思われる現在においても、いまだ疾患概念がひとつのポイントであり続けていることが示唆された。(3)次年度以後にこれらを総合的に扱っていくための理論枠組みの構築に向け、社会理論・社会学における発達障害を主題とする文献資料の収集を行った。これらは、発達障害の「理解」とはなにか、という発達障害支援において欠かせない論点についての探求であるとともに、様々な分野で急速に研究の蓄積が進んでいる発達障害研究における議論を社会学的に展開するためにも有益である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通り、研究の基盤となる資料の収集と整理を進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通りに、各分野で蓄積された研究における発達障害の「理解」についての探求を進める。疾患概念の理解がひとつのポイントとなることが示唆されたため、その理解の変遷を明らかにすることを目指す。また。これらを成果として公表していくことにも着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた学会への参加が叶わなかったことと、委託予定だった作業の一部を自分自身で行ったことによる。これらについては、研究の進捗状況にあわせて次年度以降にその機会をもつ予定である。
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