研究課題/領域番号 |
18K12938
|
研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
松本 貴文 國學院大學, 観光まちづくり学部, 准教授 (70611656)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 複業体制 / 自然資源活用 / 集落再生 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き福岡県柳川市における掘割保全について調査を継続するとともに、熊本県あさぎり町で活動する「和綿の里づくり会」についての研究にも取り組んだ。柳川市の研究では、掘割という地域資源に新たな意味付与を行うことで、人びとがそこに関与する機会が創造されており、それが地域内部だけでなく外部の主体との関係構築にも結びついていることが明らかになった。和綿の里づくり会の取り組みについても、同様に外部の主体との関係構築が進められていた。以上の2つの事例から、「複業体制の構築」と地域外部との関係構築の連関について解明できた点が、本年度の主たる研究成果であった。なお、両事例の成果をまとめた論文については、今後、論文集に掲載される予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響により、現地での調査の実施が難しい期間が続いた。そのため、本年度は柳川市でのフィールドワークを1度しか実施することができなかった。代替策としてビデオ会議ソフトウェアを用いた聞き取り調査を試み一定の成果を得ることができたものの(和綿の里づくり会の事例についてはこちらの方法を用いた)、そうしたソフトウェアを利用できるのは対象事例に関わる人びとの一部に限られており、収集できる情報には限界があった。とりわけ、地域の外部から自然資源の利用に関わっている団体や個人に対する調査は、不十分にしか実施できなかった。以上のような理由から、当初予定していたような研究を実行できておらず、進捗状況について「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
進捗状況の遅れが生じたことから、研究期間を延長することとした。現時点では新型コロナウィルスの感染状況は落ち着きをみせていることから、次年度はこれまで十分に実施できなかった現地でのフィールドワークに力を入れる。特に、本年度の研究で明らかになった「複業体制の構築」と外部との関係構築のメカニズムをより詳細に把握するため、柳川市における掘割保全活動に積極的に足を運び、そこに参加している市外の団体や個人を対象として聞き取りを進めたい。 あわせて、次年度が研究期間の最終年度となるため、研究成果のとりまとめについても並行して進める。「複業体制の構築」を促進する要因や、それが集落再生につながるプロセスについて可能な限り明確化したい。 なお、新型コロナウィルスの感染状況によっては、調査の実施が困難となる可能性もある。そのような場合については、昨年度に引き続き、ビデオ会議ソフトウェアを用いた聞き取り調査などを実施することで研究の推進をはかる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型コロナウィルスの感染拡大により、予定通り現地調査を進めることができず次年度使用額が発生した。したがって、残額については、主に現地でのフィールドワークを実施するための旅費等に充てる。
|