研究課題/領域番号 |
18K12943
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
石島 健太郎 帝京大学, 文学部, 講師 (70806364)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 障害 / 慢性疾患 / 健常主義 / 色覚異常 / ALS |
研究実績の概要 |
色覚異常者に対する進学や就職の制限が緩和した1970-80年代日本において、にもかかわらず色覚異常の治療の必要性を主張した補完代替医療の言説の分析を通じて、障害学がその理論的視座である障害の社会モデルを織り込み済みの医療の言説に対していかに抵抗しうるかを検討した。また、障害学の視座を取り入れることで既存の補完代替医療についての医療社会学に対する貢献も企図した。この研究については日本社会学会大会で報告を行ったのち、論文初稿を完成させた。こちらは2021年度初夏の投稿を予定している。 また、患者会である日本ALS協会が日本財団の助成を受けて行った調査の企画から実施、分析を担当し、全国の重度訪問介護の支給実態について、居住地域や障害の程度、同居家族数などを絡めた分析を可能にする基礎的なデータを入手した。速報的な分析は患者会の会報誌に掲載されたほか、個別の支給交渉において利用され始めている。 くわえて、理事を務める障害者支援団体での調査も継続しており、障害当事者と介助者へのグループインタビューを通じて、これまで十分に言語化されてこなかった優秀な介助者の共通点を探っている。こちらではいくつか今後の介助者育成に活かせる語りが得られている。 これらの活動は社会貢献およびアウトリーチを兼ねるとともに、障害当事者・介助者と知己を得ることを可能にしており、次年度以降の調査の展開が期待される。 このほか、当該年度以前におこなった本研究課題に関連する成果が数点出版・公刊された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で対面での調査・学会での報告が難しくなったものの、色覚異常を対象とした歴史的な資料の収集と言説の分析を中心に活動することで影響を小さく抑えた。また、その間、主たる関心であるALSについては調査協力者とのオンライン通信による環境が整えられ、グループインタビューを繰り返すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
まずはすでに草稿が完成している色覚異常について、研究会で得られたコメントや英文校閲者からの指摘を踏まえて改稿し、投稿を目指す。ついで、ALS患者への調査をオンラインを中心に実施し、学会報告および論文執筆をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により参加・報告予定だった国内外の学会がオンライン化し、旅費の支出がなかった。来年度以降も同様の状況が見込まれるが、本報告作成時点で英文校閲などやや大きい支出をすでに執行しているほか、コロナ禍でも可能な資料収集を中心とした支出を計画している。
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