第一に、従来は障害学のなかで十分に考察されてこなかった障害を治療とすることの得失について、その過程と結果に渡って詳細な検討を行った。 第二に、治療を望み続けることと障害者としての安定した生活を確立することを両立しているALS患者の事例から、障害の社会モデルの射程の長さとその背景の緊張関係を示した。 第三に、色覚異常を治療できると主張した代替医療クリニックの主張の変遷を追うことを通じて、障害の治療を正当化することが障害のスティグマ化と連動していたことを明らかにし、現代において真に障害を治療可能にしつつある医療に対し、障害学が警戒すべき点を示した。
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